第34回 らーめん店商品開発研究会 "麺"夢塾レポート | お役立ち情報 | 百年麺工房 中野大成

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商品開発研究会、トップに表示 | 2025.11.06

第34回 らーめん店商品開発研究会 "麺"夢塾レポート

第34回 らーめん店商品開発研究会

2025年10月28、29日 「百年麺工房 中野大成」—大成食品株式会社 本社2階会議室にて、「第34回 らーめん店商品開発研究会 “麺”夢塾」が開催されました。新屋号を創設して初めて迎えた"麺"夢塾に、都内、首都圏のみならず青森、長野、三重、鳥取の店主、店長様がご参加くださいました。

"麺"夢塾はお取引先限定の無料セミナー。
毎回、お店のご繁盛に役立つ特別講演、新商品試食会と、情報交換・ご相談 という3部構成で実施しています。
今回も正午より仕込み見学(希望者のみ。要事前予約)を実施。

10月28日は8名、29日は11名の方に、開発担当者による提案商品の仕込みを見学していただきました。

"麺"夢塾を受講された方には特別講演レジュメと、新商品のレシピを配布しました。
 

📢お取引先のらーめん店主様で今回配布したレシピをご希望の方は、担当営業までお問い合わせください

 
写真は10月28日の開講前風景と受講者様リスト。右上の写真は受講された皆様に配布したレジュメ、レシピと新屋号入りのタオル。右下は仕込み実習風景。手前の黒い服の方は初参加の 東京都墨田区 手打ち 蓮 林様。グレーの帽子の方は三重県津市 麺屋 鶏恋 山崎様。 10月28日"麺"夢塾 実習見学、受講店リスト   10月29日 写真上段は仕込み見学の様子。新商品のスープの試飲もありました。 下段左端は「百年麺工房 中野大成」—大成食品株式会社の鳥居社長。中央は荻原製麺技能士@大成食品(株)営業顧問、右は29日講演講師 山野様@日本ピュアフード株式会社 営業本部商品素材営業部部長。 10月29日"麺"夢塾 仕込み見学風景

開会挨拶

「百年麺工房 中野大成」の鳥居憲太郎社長が開会のご挨拶にたちました。*動画は10月29日に撮影。

<第34回”麺”夢塾開会挨拶要旨>

本日はご多忙な中、ご参加ありがとうございます。

「百年麺工房 中野大成」社長の鳥居です。百年麺工房 中野大成とは、今年9月にお披露目された弊社の新しい屋号です。

これまでの社名「大成食品」は、一般の方々、特にこれからラーメン店を開業される方々にとって、「何を製造している会社か」が分かりにくいという課題がありました。

この認知度の問題を克服し、製麺所としての専門性と存在感を明確に打ち出すため、新たに屋号を創設した次第です。

当社は今年10月3日で創業108周年を迎えました。この数字は現在、中華麺専門の製麺所の中では、当社が日本で最も歴史のある会社であることを意味します。

実は、コロナ禍を経てここ数年のうちに当社より歴史のあった製麺所が廃業されたため、当社が業界一の老舗となったのです。

ラーメンは、うどん、そばに比べると歴史の浅いジャンルながらも、100年を超えて事業を続けている。「百年麺工房 中野大成」としての自覚と誇りを、社員一同深く持っています。

お取引先の皆様からいただくご意見こそが、我々にとって貴重な成長の糧となります。麺に関してのご意見、ご要望、どうぞご遠慮なくお寄せください。

108年の歴史を未来へさらに長く続けていくためには、お取引先の皆様の成功が不可欠です。麺のこと、味創りだけに限らず、店舗の広報や会計面など多岐にわたるご相談に対応できます。お困りの際はいつでもご遠慮なくご相談ください。

 

第1部 特別講演「豚肉相場動向」

今回の特別講演講師は日本ハムグループの食肉加工メーカー・日本ピュアフード株式会社 営業本部商品素材営業部のおふたり。

28日は東日本商品素材課主任の城田泰均様。

29日は商品素材営業部長の山野慎一朗様が登壇。

詳細な資料、統計データを提示しながら、ラーメンに欠かせない食材・豚肉の相場動向をレクチャーしてくださいました。

第2部の試食会で提案された新商品にも日本ピュアフード(株)の製品が使われています。

 

<講演要旨>

「豚肉の消費量は、BSEの発生や高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う牛肉・鶏肉からの代替需要により平成16年度まで増加。最近は豚肉需要の一層の高まりを背景に180万トンを超えて推移。

・国内生産量は、近年増加傾向で推移し、令和5年度では91万トン。頭数増加ではなく、生体改良の影響」

国内の豚肉生産と輸入の割合はほぼ半々。令和5年度の国別輸入量はアメリカ25%、カナダ24%と北米が多く、スペイン18%、メキシコ14%、デンマーク6%、ブラジル、チリが4%で並ぶ。

 

世界的な需要増と供給不安。
紛争等の影響による物流コスト増、国内生産量の伸び悩みと需要の変化、肉だけでなくラードの供給も逼迫。
円安による「買い負け」もあって、豚肉の高値傾向は当面続くとのこと。

 

この厳しい状況を打開する一手として、講師は豚ウデ肉の活用を推奨。
ウデ肉は、バラや肩ロースに比べ安価で、赤身と脂身のバランスが良く、チャーシューにも適する部位。
すでに複数の大手ラーメンチェーンでも採用されているそう。

 

さらに、ラーメン店様におすすめの輸入ウデ肉3種が紹介された。

メキシコ産:日本向けに規格化されており、品質が安定している。トランプ関税の影響でアメリカ向け需要による変動が大きい。

ブラジル産:歩留まりが高く、価格と品質のバランスに優れる。

チリ産(アンデス高原豚):四元豚で脂の融点が低く、とろけるような口どけが特徴。味にこだわる店におすすめ。

これらの特徴を理解し、それぞれのお店のラーメンに合ったウデ肉を活用すれば、原価を抑制し高品質なチャーシューを提供できる。

講義の後は、各店で採用している豚肉の産地や部位、価格等についてのヒアリングやウデ肉の調理についての質疑応答が進められた。

 

講演風景

10月28日"麺"夢塾 講演風景

28日の講師は城田様。

鳥居式らーめん塾26期生 阿佐ヶ谷の 中華そば東京ぐれっちの村橋様、手打ち蓮の林様は、過去にウデ肉を使った際の感想やお客様の反応などの経験談をシェア。

東京都葛飾区の メンヤ シモヤマ 霜山様(写真右下 中央)と手打ち 蓮の林様は城田講師と歓談。チャーシュー用の豚肉の話が弾んでいた模様☺️

 

"麺"夢塾10月29日講演風景

29日は山野様が担当。

春日亭 錦糸町店の道野様(写真右中 右端白い服の方)からは、どの国のウデ肉が安いかなど価格面の質問が。神田店の小高様(中央のマスク着用の方)は、講演後に山野様と名刺交換。熱心に質問なさっていました。

阿佐ヶ谷の らーめんいろはや の鬼頭様(写真右下 後列左から2人目)からはウデ肉の特徴をいかすのに最適な煮込み時間や、国による規格の違い等について質問が寄せられました。

 

第2部 新商品試食会

第2部は福井則雄商品開発マネージャー/鳥居式らーめん塾味創り担当講師による新商品試食会。

今回は時短と原価削減をテーマにした新商品3品を提案しました。

提案商品1と2で使用したのは、中力粉にもち麦と全粒粉をブレンドした新作麺。9月に開催された「ラーメン産業展 in Japan」 でも紹介し、ご好評をいただいた商品です。

提案商品のつけ麺、油そばに切刃8番の平打ちタイプを合わせました。

希少小麦のもち麦を加えた麺はもちもち食感が特徴。8番の太麺がまぜそば用なら3分半。つけ麺用に冷水でしめる場合は6分半ほどという茹で時間の短さも魅力です。

 

*新商品試食会では毎回、最新のトレンドと季節感をふまえ、訴求力に富む限定メニューをご提案しています。

今回は諸物価高騰が続く中で、省力、省エネ、省コストで高付加価値を追究。

秋冬に限らず、年間を通して使える3品をご試食いただきました。

今回配布したレシピはあくまでたたき台。それぞれのお店の個性、客層にあわせてアレンジしてください。

 

動画は、福井則雄商品開発マネージャーのプレゼンテーションの冒頭部分。終盤では醤油ダレについて解説しています。

第1部の講演内容を受け、レシピのコンセプトとポイントを紹介しています。

材料費高騰でラーメンの販売価格があがるなか、ボリューム感、満足感をお客様に感じていただけるメニューを開発。提案商品1の調理手順を紹介しています。

動画終盤には、醤油だれ開発のヒントについても言及しています。

 

提案商品 1 鶏白湯野菜つけ麺

日本ピュアフード(株)製の鶏白湯20J RNを使用したつけスープ。

もち麦全粒粉麺は8番の切刃を使用した太平打麺 170g を使用。

野菜あんかけは別添えで、つけ汁の味の変化も楽しめる。仕込みをしておけば、注文を受けたあとの提供手順はシンプル。

34回"麺"夢塾 鶏白湯野菜つけ麺

*レシピのポイント

日本ピュアフード(株)の鶏白湯20J RNはBrix20。加熱殺菌していないため、非常に風味がよく、常温で長期保存可能。スープの製造コストの大幅削減が期待できる。

このスープを、鶏ももチャーシューをボイルしたスープで希釈して風味アップ。調味は、福島鰹(株)の塩返しと鶏油、甘酢を使用した。

具材 野菜あんかけはゆでた野菜に作りおきのあんをかけて作る。あんかけのベースは鶏もも肉ボイルスープを使い、めんつゆで調味。

鶏チャーシューはボイル後、醤油に漬け込んでから表面をフライパンで焼いて仕上げる。短時間で仕込め、焼きつけにより香ばしさが加わるため満足度アップが期待できる。

ボイルしたスープはつけスープやあんかけのベースとして無駄なく使う。

味変アイテムとして、福井マネージャーレシピによるPB商品の「海老辛の具」と自家製の柚子唐辛子が添えられた。つけ麺、油そば両方に使用できる。

柚子唐辛子は、柚子が旬の時期にまとめて仕込んでおき、小分けして冷凍保存すると便利。

 

*業務用スープに厨房で短時間で仕込めるスープを合わせてコスト削減と高品質の両立を果たした鶏白湯つけ麺です。麺のおいしさをひきたてるやさしい味わいでした。

野菜あんかけをかける量やタイミング、また味変アイテムの活用により、お客様が好みの味をつくりながら食べ進める楽しさを提供できるメニューですね😃。

仕込みをしておけば、提供時のオペレーションはごくシンプル。アルバイトでもスムーズに対応できそうです。

提案商品2 焼きアゴ油そば

焼きアゴオイルを使ったシンプルな油そば。スープがない分、トッピングに原価をかけられる。今回は豚肉の部位を変えた2種の低温調理チャーシューを採用。

もち麦全粒粉麺#8 170g の平打太麺は茹で時間3分半ほど。早茹ででスープオフ、短時間で食べ終えられるメニューにつき回転率アップ効果も期待できる。

34回"麺"夢塾 焼きアゴ油そば

*レシピのポイント

焼きアゴオイルは、ラードに福島鰹(株)の焼きアゴ粉末を入れて湯煎する。

湯煎の時間がややかかるものの、仕込みは容易。しかも焼きアゴ以外の鰹節粉、煮干しの粉等に変えても良い。お店の個性やこだわりをいかしたアレンジが可能。

密閉容器で作成、保管することで酸化せず、香りが抜けないメリットあり。

味付けは醤油だれ、焼きアゴオイル、甘酢を丼に入れ、ゆでた麺を加えてよくかきまぜ、具をのせるだけでOK。

チャーシューはカナダ産チルドの肩ロースを低温調理し、歩留りが改善。

別添えの豚バラチャーシュー

34回"麺"夢塾 バラチャーシュー 低温調理プラス燻製風仕上げは温度と時間を変えた低温調理。

通常、スープで肉を煮こむと60%弱の歩留りになることから、歩留まり率向上による原価削減効果はかなり大きい。

どちらのチャーシューも、網で焼き、肉の煙をまとわせて燻製風に仕上げている。香ばしい風味があり、高級感がアップ!

 

*焼きアゴ粉末は福島鰹(株)のもの。使用量は少量でよいため、従来の抽出方法よりかなり安く作れます。

 

↓福井マネージャーのレシピによる「海老辛の素」。大成食品(株)で扱っています。担当営業までお問い合わせください。

海老辛

 

 

 

提案商品3 豚そば

最近流行のちゃん系テイストの豚そば。ちょっとジャンクでレトロな味わいのスープは熱々。丼にたっぷり注いで提供。

トッピングには、安価なウデ肉のチャーシューを使用。提供時にスライスしてのせる。

34回"麺"夢塾 豚そば

*レシピのポイント

スープはチャーシュー用の豚ウデ肉、背骨を使用し、弱火で炊く。

材料、手順ともシンプルで、加熱時間はのべ5時間ほど。ラーメンスープとしては短時間仕込みとなり、省エネ、省コストとなるレシピに。

チャーシュー用の肉の煮込み時間は90分ほど。寸胴からひきあげた肉は地方の醤油蔵から取り寄せた醤油で調味。

営業中は保温しておき、オーダーが入るごとにスライス。切り立てを80gのせていく。一般的な店のラーメンにのるチャーシューの倍近いボリュームに。

スープの味付けは福井マネージャーが開発した特製醤油返しを使用。一般的なラーメン店のスープ量よりも多い360ccのスープに、返しとラードをたっぷり加えるため、スープ濃度の割にこってりした印象になる。スープが冷めにくいのも冬季には強みに。

 

*今回の醤油返しは福井マネージャーのレシピによる特注のものです。

地方の蔵元で仕込まれた醤油がポイントで現在、メーカーに依頼し商品化を準備中とのこと。発売まで今しばらくお待ちください😃

 

*提案した新商品に使用した業務用食材各種は、「百年麺工房 中野大成」—大成食品株式会社で扱っています。商品によっては麺といっしょにお届けできるものも。

お問い合わせは担当営業までどうぞ。

麺のご相談もお気軽に。

 

試食会風景など、会場スナップ

写真左上 左から3人目 黒いスーツの方は青森県八戸市 くるまやラーメン八戸店くるまやラーメン根城店を運営する(有)三栄商事社長の木村様。福井マネージャーのレシピ解説に頷きながら熱心に試食されていました。

写真左上 焼きアゴオイルに使用した福島鰹(株)の焼きあご微粉末。

写真左中 味変用の柚子唐辛子。

写真左下 油そばにのせたチャーシューと味変用の海老辛

 

写真右中 新作のもち麦全粒粉麺。つけ麺用に6分半ゆで、冷水でしめてもりつけたもの。

水道橋 濃厚海老つけ麺ともやま 今回はオーナー様(写真右上 右端の方)が出席。仕込み見学から試食会まで、常に熱心に撮影やメモをとる姿が印象的でした。

今回も鳥取県米子市から駆けつけてくださった鳥居式らーめん塾9期生 麺処三鈷峰の岡本様(写真左上と左下 黒い帽子茶色チェックシャツの方)。食材費や送料はじめ諸物価高騰が悩みの種。塾終了後も福井マネージャーに熱心に質問されていました。

5期生 青森の麺屋しゅはり 奈良さん(写真右下 左から2人目の黒い帽子の方)によると「昨日、青森は雪が降りました」とか。災害級の猛暑に泣かされた今夏。せめて冬は雪少なめで千客万来となりますように(祈)

直営店 麺彩房中野本店 の高部店長(写真左上 右から2人目)は春のもち麦全粒粉麺と秋のもち麦全粒粉麺の違いに着目。春の提案商品は夏の限定として発売されましたが、今回はいかに? 今後の限定麺の動向が楽しみです☺️

 

第3部 質疑応答・相談タイムのスナップ。

麺”夢塾常連の高田馬場 つけ麺屋ひまわり 河野様(写真右上 右端の帽子の方)は今回も仕込み見学から参加してくださいました。テナントビル上階の火事のため数ヶ月にわたり休業していたお店が9月末に営業再開! おめでとうございます✨ますますのご繁盛お祈りします。

 

双麺@錦糸町、門前仲町、浅草橋 フーフー飯店@錦糸町、亀有 を運営するDOT EIGHT COMPANY(株)社長の橋本様。今回はフーフー飯店総料理長の西塚様、浅草橋店長 瀧澤様と参加してくださいました。朗らかに率先して質問してくださるおかげで他の方もぐっと話しやすい雰囲気に✨

 

10月28日は福島鰹(株)東京営業所 徳田様(写真右下 左から3人目のスーツの方)、29日は村瀬様(写真左下 左の方)が試食会をサポートしてくださいました。いつもありがとうございます。

写真左下 右側は、2日にわたり試食会をサポートした林@(株)八幡製麺所 営業。

写真右下は28日の厨房風景。左端は、28日の司会も担当した古米@大成食品(株)営業。中央奥は仕込み、試食品の調理提供をサポートした藤原@大成食品(株)営業。

 

*おわび:早退等でご挨拶できなかった店主様、次回はぜひお店のお話や”麺”夢塾のご感想など伺わせてください。

次回は来春開催予定!

次回 第35回らーめん店商品開発研究会 ”麺”夢塾 は2026年春に開催予定。

春夏商戦に向け、お店の業績アップに役立つ特別講演、新商品試食会を実施します。

詳細が決まり次第、お取引先にご案内状をお届けします。定員は各日15店(名)様につき、お早めにお申し込み願います。

 

<今回提案した新商品のレシピは、お取引先様に配布します>

ご希望の方は担当営業にお問い合わせ願います。

レシピの内容についてのご質問は福井商品開発マネージャーあてにお願いします。

 

<おわり>

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