第33回 らーめん店商品開発研究会"麺"夢塾レポート

2025年3月12、13日、大成食品株式会社 本社2階会議室にて、「第33回 らーめん店商品開発研究会 “麺”夢塾」が開催されました。今回も首都圏を中心に、愛知、三重、岐阜、鳥取、鹿児島の店主、店長様がご参加くださいました。
"麺"夢塾はお取引先限定の無料セミナー。毎回、お店のご繁盛に役立つ特別講演、新商品試食会と、情報交換、ご相談 という3部構成で実施しています。
今回も正午より仕込み見学(要事前予約)を実施。
12日は5名、13日は8名の店主、店長様に、開発担当者による仕込み過程を見学していただきました。
"麺"夢塾を受講された方には特別講演レジュメと、新商品のレシピおよび原価表を配布しました。原価表の配布は今回が初めてです。
📢お取引先のらーめん店主様で今回配布したレシピをご希望の方は、担当営業までお問い合わせください。開会挨拶
3月13日は大成食品株式会社 鳥居憲太郎社長が開会のご挨拶にたちました。
本日はご多忙な中、ご参加ありがとうございます。
“麺”夢塾は夏季商戦に向けてのメニュー提案だけでなく、業界トレンドやラーメン店経営における課題に対する参考情報の提供も目指しています。
今後も、お客様からのご要望を積極的に受け付け、情報提供に活かしてまいります。ご意見等、担当営業あてにお寄せいただければ幸いです。
弊社は今秋で創業108年を迎えます。建物は古いですが、設備の更新や最新技術の導入等を通じてお客様に貢献してまいります。どうぞひきつづきご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
第1部 特別講演 講師はフードジャーナリスト 山路力也様。
今回の特別講演講師はフードジャーナリスト、ラーメン評論家、飲食店アドバイザーの山路力也様。
テレビ、雑誌、webなど様々な媒体で食の情報を発信中。ラーメンのメニュー開発や店舗、イベントのプロデュース、飲食店のコンサルティング実績も豊富です。
山路様の多彩にして精力的なお仕事ぶりは、当日配布されたA41枚の資料ではとても紹介しきれないほど。日々更新される山路様の公式サイトもぜひご覧ください。
フードジャーナリスト・ラーメン評論家 山路力也オフィシャルサイト
参考:山路様の飲食店向けのコンサルティング・アドバイスが受けられるオンラインサロンです。ラーメン店の開業準備中の方、店主さんのほか、他業態の飲食店経営者も多数参加しています。
DMMオンラインサロン「山路力也の飲食店戦略ゼミ~愛される店になる為のルール~」
講演風景 *動画冒頭に当日配布された山路様のプロフィール、レジュメの画像を掲載しています。
動画では山路さんの自己紹介から講演導入部分と、講演の最後にお話された「お店に帰ったらすべきこと」の部分をご紹介しました。
<講演概要>
テーマは「2025年のラーメン業界でどう勝ち残るか」。
ラーメン業界の厳しい現状、特に原材料費や人件費の高騰といった課題に対する具体的な対策、事例を紹介。
原価設定の見直しやコスト削減の重要性を指摘しつつ、いわゆる「1000円の壁」とどう向き合うべきか。壁を超えるにせよ、超えないにせよ、顧客に対して、販売価格にみあう価値を提供しなければ生き残れない、と指摘。
最近のラーメントレンドや話題のお店を例にあげながら、付加価値を高め、消費者にわかりやすく伝える手法、アイデアを提案。SNS活用や店舗運営の再考、お店の名物作り、QSCの追究といった店主として今日から取り組むべき施策をレクチャーしてくださいました。
ラーメントレンド、今食べるべきお店やラーメンについてはYahoo!ニュースの山路様のコーナー掲載の記事群をご参照ください。エキスパートオーサーとして精力的に寄稿なさっています。
参考:Yahoo!ニュース「危機食論 フードジャーナリスト山路力也」
講演風景
3月12日(写真上)
春日亭 錦糸町店の道野様(写真左端白い服の方)、神田店の小高様(右隣の黒い服の方)からは券売機の完全キャッシュレス化についてのご質問が。現在現金とキャッシュレス併用のレジで。山路様からの「地域性にもよりますが、都心、駅前立地の春日亭グループなら完全キャッシュレス化は省力化、人件費削減に有効そうですね」という回答ににっこり。
初参加 麺屋鶏恋 山崎様(写真中央 ベージュの服の方)三重県津市に 2021年10月にオープンしたお店。Instagramで店主自ら営業日に投稿。山路様の講演にもあったSNSを活用するお店のお手本的存在かも。
同じく初参加 神奈川県秦野市の麺屋哲 清水様 山路さんの講演に、深くうなずきながら聞き入る姿が印象的。山路様の講演内容をふまえ、お店のInstagramに”麺”夢塾のことを投稿してくださいました。新商品を大変おいしそうに撮影してくださっています。
3月13日(写真下)
初参加の中華そば青葉 船橋店の金野様(写真左端 黒い服の方) 狭山店の小澤様(写真中央 ベージュの服の方) 頷きながら講演を聞いていらしたお二人。閉会後も山路様と熱心にお話しされていました。
同じく初参加 風風ラーメン武蔵小金井店、味噌屋蔵之介ひばりが丘店の武田様。DXの推進や人材不足の解決方法などの話題に瞳を輝かせていらっしゃいました。
SNSの話題に苦笑されていたのは阿佐ヶ谷の中華料理一番 鈴木様。お店のHP、SNSなどはないそう。食べログ、Googleで検索するとお店の情報は出ますが、都内の同名のお店や似た名前のお店の情報もヒットしてしまいます💦阿佐ヶ谷の繁盛店 中華料理一番 としての公式な情報を発信する場がひとつは欲しいところです。Googleビジネスプロフィールならオーナー登録(無料)ですし、日々の更新も簡単ですよ😉
阿佐ヶ谷の鳥居式らーめん塾26期生 中華そば東京ぐれっちの村橋様 (写真左から2人目)、25期生 岐阜県本巣郡北方町の麺彩家 安藤様(写真中央奥、グレーの服の方)。どちらもワンオペ営業、限定メニューに注力するこだわり仕込みのお店です。鳥居式らーめん塾の講義でもお世話になった山路様の講演は、物価高騰が続くなか1000円の壁に挑む背中を押し、励ますような内容だったのでは☺️。
第2部 春夏向けの新商品試食会
第2部は福井則雄商品開発マネージャー/鳥居式らーめん塾味創り担当講師による新商品試食会。
今回は時短と原価削減をテーマにした夏向けの新商品3品を提案しました。
使用したのは、もち麦と全粒粉を使った新作麺。切刃違いの細麺@20番、太麺@8番(写真)の2種類を用意。もちもち食感をいかした高付加価値メニューをご試食いただきました。
*新商品試食会では毎回、最新のトレンドと季節感をふまえ、訴求力に富む限定メニューをご提案しています。諸物価高騰、人手不足が続く中で、省力、省エネ、省コストで高付加価値をめざしたレシピとなっています。
*配布したレシピはあくまでたたき台。それぞれのお店の個性、ターゲットにあわせてアレンジしてください。
動画は、福井則雄商品開発マネージャーのプレゼンテーション 冒頭部分
山路さんの講演で出た原価高騰や1000円の壁といったキーワードを受けて、新作レシピのコンセプトとポイントを紹介。
使用した新作麺 もち麦全粒粉麺 についても触れています。
希少小麦のもち麦と全粒粉を入れた麺はもちもち食感が特徴。20番の細麺は1分10秒でゆであがり、8番の太麺でも3分。冷水でしめる場合でも6分という茹で時間の短さも魅力です。
今回は、ご希望の方に太麺のサンプルを配布しました。
提案商品 1 焼きあご冷やしそば
1品目は、猛暑が予想される今夏向けのあっさりした冷たいラーメン。
新開発のもち麦全粒粉麺は20番の切刃を使用した細ストレートタイプ 150g を使用します。
*レシピのポイント
原価をおさえて高付加価値化をはかるため、食材選びと仕込み方法が工夫されています。
高騰する魚介系の出汁素材の中で、比較的安定供給が見込める「焼きあご」を使った冷やしラーメンです。
今回は福島鰹(株)で5月に発売予定の新商品を使用。価格はまだ確定していないので、原価表の価格データは正式発売後、変更となる見込み。
焼きあごのストレートな旨味を活かしたスープに昆布ベースのタレと特製の香味油を加えたシンプルな構成。短時間で仕込めるので光熱費、人件費抑制につながります。
スープ原価が抑えられた分をトッピングにまわして訴求力、顧客の満足度のアップを企図。
鶏チャーシューは、胸肉の低温調理に一般的なラーメン店の手法とは異なる独自の手法で梅風味にし、他店との差別化をはかります。
近年、値上がりが顕著なメンマは割安なミャンマー産乾燥メンマの採用を提案。手間はかけずに浸水時間をかけることで柔らかく、ボリュームたっぷりに戻せるテクニックを紹介しました。動画もご参照ください。
*ミャンマー産メンマは大成食品(株)で扱っています。前出の動画でもメンマの相場、戻し方の例など紹介しています。
こちらはサンプルもあります。担当営業までお問い合わせください。
*高付加価値をお客様にアピールするヒント
希少な焼きあごを使用している点、手間暇かけて出汁を抽出していることをアピールすることで、価格への納得感を高められます。
トッピングは、自家製の梅風味低温調理鶏肉として、オリジナリティを打ち出せます。高タンパク低脂肪の鶏肉を使っていることで、健康志向の消費者にも訴求します。
味変アイテムとして梅酢を提案しました。5、6月ごろに出回る梅酢なら安価かつ少量で変化が楽しめます。
「小さな容器に詰めた梅酢を少々ふる」など提供方法の工夫で食体験を向上させ、満足度を高めることが可能になります。
筆者感想:見るからに涼やかで滋味ゆたかな味わいでした。香味油や薬味の工夫で個性を出せそうです。山路さんの講演にもあった通り、SNS等を活用しているお店であれば、格好の投稿材料になりますね。
ちゅるちゅるもちもちの新作麺や焼きあごの話を深掘りしたり、仕込みの様子や、味変の仕方、タイミングなどを写真や動画も使って発信すれば、ユーザーの興味関心を集められそうです。
焼きあごだしのスープがとてもおいしかったので、しめのお茶漬けなどごはんとのセットメニューや追加オーダーを店内掲示や口頭でお知らせすれば、客単価向上にもつながると思われます☺️
提案商品2 汁なしごま担々そば
暑い夏でも食欲をそそる、濃厚なごまの風味とラー油の辛味が特徴の汁なし麺です。
もち麦全粒粉麺#8 180g の平打太麺を使用。茹で時間は3分!
*レシピのポイント
高価な練りごまや芝麻醤を避け、白ごまをお店で粉砕して使用することで大幅な原価抑制に。税込990円で提供可能な原価設計。
自家製ごまペーストのフレッシュで豊かな風味が、訴求力と付加価値アップにつながります。
3分で茹で上がるもち麦全粒粉麺が濃厚なごまダレとしっかりと絡み、食べ応えあり。
鶏の角切り肉と半熟卵のトッピングでボリューム感をアップ。タレを多めにして追い飯を楽しめる設計に。
*高付加価値をお客様にアピールするヒント
「フレッシュ」「作りたて」の「自家製練りごま」をアピール。限定メニューならではのこだわり、品質の高さを強調できます。
鶏スープと海老辛を組み合わせた独自のタレであることをアピールし、他店との差別化を図ります。
↓福井マネージャーのレシピ採用の海老辛。大成食品(株)で扱っています。サンプルもあります。
トッピングの鶏肉を増量したり、希少部位を使用するなど、特別感を演出するアレンジも可能。
ラー油を自家製にしたり、数種類のラー油を用意して辛さを選べるようにするなど、辛さの見せ方の工夫も訴求力アップに有効。リピーターを増やす効果も期待できます。
筆者感想:
自家製ごまだれの香り、味わいが鮮烈なおいしい一杯でした。試食会でも歓声が上がっていましたよ。原価を抑えられてお味も良いという魅力的なレシピです。
トッピング次第で豪華になるし、お店ごとの個性を演出できますね。
ごまだれが結構残るので、追い飯が嬉しいメニュー。米が値上がりしている昨今、ご飯を別売りにするか、プチサイズにして追い飯セットとして販売するかは、それぞれのお店の立地、客層次第かも?
自家製ごまだれを仕込んだり、麺を混ぜたり、追い飯をする様子など、おいしそうな動画が色々撮れそう! SNSで発信、アピールしやすいメニューなのでは?☺️
提案商品3 鶏皮生姜ぶっかけ冷やし
暑い夏にさっぱりと食べられる、ぶっかけタイプの冷やし麺です。
*レシピのポイント
もち麦全粒粉麺を6分ゆで、冷水でしめて提供し、麺自体の美味しさを楽しんでいただけるメニューです。
鶏スープをベースにしたあっさりした冷たいスープ。ぶっかけスタイルのため、スープ使用量が少なく、原価抑制に効果的。焼きあご冷やしそばと同じ特製の香味油を加えて風味を豊かにしました。
比較的安価な鶏皮をメインの具材として活用しコストを抑制。生姜の風味を効かせて鶏皮の臭みを消しており、食欲増進効果も期待できます。
仕込み、調味がシンプルで、麺にもごはんにも合い、サイドメニューへの展開が容易です。
揚げネギをトッピングすることで、食感と風味にアクセントを加えました。試食会ではまずわさびを添えて出し、別添えで海老辛も提供しました。味変の楽しみ方を提案することで付加価値および満足度を高めることができます。
*高付加価値をお客様にアピールするヒント
生姜風味が食欲を誘う、あっさり冷たい麺。暑い日におすすめのメニューとしてアピールできます。
鶏皮生姜トッピングは、ご飯にのせても美味しいことを示唆し、ライスや鶏皮生姜丼などのサイドメニューの注文を促すこともできるでしょう。
筆者感想:
新作麺のもちもち食感と豊かな小麦の風味を満喫できるメニューでした。
器やトッピング次第で売価が多少高くても、お客様が納得、満足する一杯になりそうです。見た目ではわかりにくい香味油や薬味、味変用のアイテムの工夫は店主さんの腕のみせどころかも?
鶏皮生姜は麺のトッピングとして、ご飯ものに、おつまみに、と活躍しそう。福井マネージャーの解説によると、鶏皮生姜は茹で時間の調整次第で食感、歩留まり率が変わるそうです。”麺”夢塾で配布されたレシピと原価表(この資料が配布されたのは”麺”夢塾史上初です😳)を参考に茹で時間を変えて試作なさってみてはいかがでしょうか。
新商品に使用された業務用食材。大成食品(株)で扱っています。
左上は福井マネージャーのレシピによる海老辛。小袋はサンプル。右上はミャンマー産乾燥メンマをサンプル用に小分けしたもの。
左下 サンプル品の焼きあご開き 右下 サンプル品の焼きあごラウンド。5月より正式に発売開始予定とのこと。
試食会風景
麺”夢塾常連の高田馬場 つけ麺屋ひまわり 河野様(写真上 右から3番目の帽子の方)。テナントビル上階のお店の火事のため現在お店は休業中。営業再開に向け、今回は仕込み見学から熱心に受講してくださいました。1日も早くお店を再開できますようお祈りしています。
開店1周年記念キャンペーン中に駆けつけてくださった 水道橋 濃厚つけ麺ともやま 店長ビエン様(写真上 右から2番目の黒い服の方)。前回の”麺”夢塾に引き続きのご参加です。とりわけ用の容器や割り箸を配ったり、後かたづけにすばやく手を貸していただき、ありがとうございました。お店でのスピーディーで細やかな接客ぶりが目に浮かぶよう☺️今回のレシピがお役に立ちますように。
今回も鳥取県米子市から駆けつけてくださった鳥居式らーめん塾9期生 麺処三鈷峰の岡本様(写真右下 右端の方)。山路さんの価格、コストに関する問いかけ。お客様に伝わる付加価値の話題に何度も頷いていらっしゃいました。お開きのあとも福井講師に熱心に質問なさっていました。
12日は福島鰹(株)東京営業所 岡本様が試食会のサポートに入ってくださいました。ありがとうございました。
直営店 麺彩房中野本店 の高部店長は研修として講演、試食会に参加。新商品の麺に興味津々でした。夏の限定麺の動向が気になりますね🎵😃
写真右上 右端の方は、山路様、荻原営業顧問と歓談中の仮屋様@鹿児島市「油そば373」
前々回受講されたときは開店準備中。開店後半年が経過した今ならではの課題、お悩みも多々あるのでは? 今回の”麺”夢塾が課題解決のヒントとなり、狩屋様、お店のスタッフの皆様の笑顔につながりますように☺️
写真左下
双麺@錦糸町、門前仲町、浅草橋 フーフー飯店@錦糸町、亀有 の橋本様。今回は浅草橋店 エリアマネージャーの後藤様、錦糸町店 マネージャーの田儀様と一緒に受講してくださいました。
“麺”夢塾常連で、講演や試食会に積極的に参加してくださる橋本様。気になる商品や手法があればお三方で即、相談。すぐにGOを出す様子を目撃しました😳 この写真の撮影直後には、お店でミャンマー産乾燥メンマの試作検討会を開催することが決まりました。
写真右下 右端の方は“麺”夢塾初参加 鳥居式らーめん塾23期生 愛知県名古屋市昭和区 宮裏交差点 の高木さん。大成食品(株)古米@営業担当(左端)、福島鰹(株)東京営業所の村瀬さん@鳥居式らーめん塾23期生(中央)と語らう姿は塾生時代のまま✨
夏の限定麺のヒットメニューを複数お持ちの高木さんですが、今回の提案メニューもぜひご検討ください😉
右奥 黒いベスト姿の方は、2日にわたって試食会サポートを担当した林@(株)八幡製麺所 営業担当。
*おわび:3月13日の回は満員御礼。時間の都合もあり名刺交換、ご挨拶ができなかった店主様、大変失礼いたしました。次回はぜひお店のお話、”麺”夢塾のご感想など伺わせてください🙇♀️
次回は今秋開催予定!
次回 第34回らーめん店商品開発研究会 ”麺”夢塾 は2025年秋に開催予定。
秋冬商戦に向け、お店の業績アップに役立つ特別講演、新商品試食会を実施します。
詳細が決まり次第、お取引先にご案内状をお届けします。定員は各日15店(名)につき、お早めにお申し込み願います。
<おわり>