鳥居隊長の中国中原麺紀行 | お役立ち情報 | 大成食品株式会社

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イベント、その他、中野本社 | 2012.09.07

鳥居隊長の中国中原麺紀行

鳥居隊長の中国中原麺紀行

「中国全省を食べ歩いた」坂本先生と中国中原の麺事情を視察!

山内「おかえりなさい、隊長(^^)
毎年恒例の中国視察、今年はどちらをまわられたんですか?」

☆前回は湖南省で米粉文化を体感!
https://tokyo-ramen.co.jp/tabearuki/tokubetu21.html

鳥居隊長「今回は中華文化発祥の地とされる中原(ちゅうげん 黄河中下流流域)の麺文化を体感してきたよ(^^)

6月9日早朝に羽田を発ち、北京経由で西安そして鄭州をめぐった4泊5日の旅だった。
視察団の団長は、『中国全省を食べ歩いた男』こと中国麺類文化研究家の坂本一敏先生さ(^^)」

☆坂本先生の著書
「誰も知らない中国拉麺之路―日本ラーメンの源流を探る」
      小学館101新書  2008/12/6発行 740円+税


鳥居「視察団は10名。私と本社工場の製麺技能士・大塚君。
ラーメン評論家 大崎さんは、昨年にひきつづき今年も参加してくださった。
鳥居式らーめん塾2期生の生田君、福島鰹(株)の社員、製麺、製粉会社のオーナーや重役など、らーめん、食品業界のエキスパートばかりだったね」


☆大崎さんが取締役会長を務めるラーメンデータバンク 公式URL
http://www.ramenbank.com/

☆国内外に精力的に出店する2期生生田さん@「ラーメン凪」のブログ
http://blog.livedoor.jp/burand1/

最も印象的だった「ビャンビャン麺」とは

山内「今回も早朝から深夜まで、麺めんメン…♪な日々だったのでしょうか(^m^)」

鳥居「そうだね。
北京空港での国内便の乗り継ぎ待ちに豚骨ラーメンを食べたのを皮切りに…、軽く40種類は食べたかな。
餃子、ワンタン、ナンも麺(中国語では小麦粉および小麦粉を用いた製品全般を指す)だからね(^m^)

ただ、今回は猛烈に暑くて…
連日最高気温が35度以上。最終日なんか41度もあって、ほとほと参ったよ。
おかげで食が進まず、深夜の部の食べ歩きツアーは遠慮させてもらったくらい(^^;
大塚君たち若くて元気な人は夜の食べ歩きにいったから…(とアルバムを開き)
ほら、彼の撮った写真のほうを見ると、私よりさらに10種類は多く食べていたみたいだよ(^o^)"」


山内「北京空港のお店のラーメンスープ、豚骨ですね。
見事に白濁してて、おいしそう!(^^)」
 

鳥居「価格は日本円でいうと1杯400円弱といったところ。
豚骨スープは見た目よりかなり薄めだった。麺はコシがなくて柔らかな中太麺だった。
日本の豚骨ラーメンのようにパツッと固い細麺とは全く違っていたね。
具はゆでた青菜、干し椎茸の含め煮、手羽先。薄いスープに柔らか麺で相性はまあまあだけど…味の面では、かなり現地化されたラーメンだった(^^;

これを食べ終えて、いざ西安へ!と乗り込んだ飛行機が…その後、3時間も動かなくてねえ(@@;
おかげで西安空港についたのが夕方6時。
予定を変更せざるを得なくなり、(庶民的なお店での)ビャンビャン麺で夕食、となった」

山内「びゃんびゃんめん?(^^) おもしろい響きですね♪」

鳥居「ビャンの字は総画数が60以上。そうそう覚えられないくらい複雑な字だね(^^)」

山内「どんな麺なんですか? 生地は真っ白ですね。日本のうどんと同じようなものですか?」

鳥居「お店で麺をつくっているところを見学できたよ。
日本の小麦粉は漂白されなくなって久しいけど、中国の粉はたいてい漂白されている。真っ白いのはそのせいさ。
中力粉か、かなり薄力粉に近いタイプの粉にみえた。
これに塩と水だけを加えてこねる。中国の水は日本の水と違って硬度が高いから、日本で同様の配合で打った麺とはおのずと風味、食感がかわってくる。

こねあげた生地の成形はまず、長い定規のように細長く、平たくのばしておく。
さらに油をまぶしてから生地の両端をもち、勢いよく台に叩き付けるんだ。この叩きつける音が名前の由来だそうだ。

1本ずつ、生地をビャンビャンいわせてるうちに(^o^)1メートルくらいの包帯状にのびてくる。
これをお湯でゆでれば完成だ。

すするにはちょっと難しいくらい幅広く、長い麺に、青菜、卵、ラー油系の塩ダレをかける。
よくまぜて食べると…これが美味い! φ(^Q^)p
ワンタン皮のようになめらかだが、プリン、ツルンとした弾力。食べごたえのある巾と長さもインパクトがあってよかったね。

つづいて、お湯に浸かった麺のボールが出された。
別の器にトマト味のつけ汁が添えてある。つまり、ビャンビャン麺のつけ麺だね。
 

つけ汁は日本のつけ麺のつけ汁に比べ、かなり薄いが、これはこれでなかなかの相性。
麺の美味さもあって、皆、夢中で食べたよ。
今回食べた数々の麺料理のなかでは、一番美味しく、印象的だったものの一つかな」

山内「絶賛ですね♪
秋の大成麺市場や直営店の限定メニューなどにビャンビャン麺が並ぶ日も近かったりして(^m^)?」

鳥居「うーん…(^^;ゞ
おいしくてインパクトのある麺だったから、量産さえできればぜひ取り入れたいところだけど…
そもそもが手作り、手延べの製法だからコストが問題。
人件費が安い中国だからこそできる麺なんだよね。
専用の器具も必要だし…。
ただ、麺づくりの技術そのものは、習えばマスターできると思う。コスト面がクリアできるなら、ぜひやってみたいね(^^)b」


鳥居「ビャンビャン麺の次は、西安市内に開店したばかりの『鶴峰拉麺』へ。
ラーメン専門店のような店名ながら、寿司、刺身、鉄板焼き、煮物…と何でも揃っている日本料理店だった。

試食したのは、北海道ラーメン。
薄い醤油スープに柔らかい麺は、いかにも現地の人の好む味だった。
かんすいの強い、熟成した縮れ麺とか、味噌味とか、あるいはかにや海老といったシーフード…
北海道ラーメンときいて我々が思い描くような要素はみつからなかった。
最新の日本のラーメンが支持され、専門化、細分化傾向が顕著だったシンガポールのラーメン事情とは対照的だったね」

☆今年5月のシンガポール視察レポート…
https://tokyo-ramen.co.jp/tabearuki/tokubetu28.html

嗚呼、麺に歴史あり!

山内「『南粉北麺』(中国南方は米の麺、北方は小麦の麺が主流)という分類からすると、中原一帯はどちらにあたりますか。
黄河流域だからやはり北。麦の麺が主に食されていたのでしょうか?(^^)」

鳥居「麦の麺が多かったが、西安では雑穀の麺も米の麺も普通に出てきたよ(^^)
麺の故里・山西省に隣接しているし、かつては長安と呼ばれ隆盛を極めた国際都市だ。
地域、時代をこえた多彩な食文化が混ざりあい、融合し合った麺料理の数々が、21世紀の今なお受け継がれ、愛されつづけている印象を受けたよ。

たとえば水盆羊肉(シュイパイヤンロウ)。
市内のイスラム教徒向けの店で焼餅といっしょに出てきた」

山内「焼餅?(@.@)」

鳥居「インド料理のナンみたいな、平たいパンだね。
小麦粉製品だから、これも中国では広義で麺というわけ。
適宜ちぎっては、羊のスープにつけて食べるんだ。
このスープはイスラム教の教えにのっとって処理した羊を煮込んでつくる。ごく薄い塩味で、薬味はパクチーとニンニクの甘酢漬け。
スパイシーでかなり独特な風味があるから、視察団のなかでも好き嫌いがはっきりわかれた。
スープには細くてツルツルした春雨のような麺も入っていたよ」

山内「繁華街にイスラム教徒向けのお店、メニューが揃っているというあたり、さすが元長安、って感じがしますね。
イスラムでは豚はタブーだけど、羊はOK…じゃあ豚のかわりに羊を使えば、イスラム圏に出店しても安心!?(^^)b」

鳥居「(^^;あいにく、羊なら何でもOKというわけではなく、きちんと宗教的な手順、儀式を経ないといけないらしい。
宗教と食の問題はなかなか難しいね。
ともあれ、西安では羊のスープがよく出てきたよ。
ホーロー麺という蕎麦粉を使ったまぜそばにも使われていた」

山内「蕎麦! 手打ちですか?(^Q^)」

鳥居「いや、押し出し式だった。
日本の蕎麦に比べ、はるかに柔らかい、加水率の高い生地を、底に細かい穴があいた木筒に詰めて押し出し、ゆであげていく…という製法。雑穀麺の製法としては一般的だね。

本来ならもっと蕎麦の風味がしてもいいのだろうが…
試食してみると、羊独特の風味にネギと唐辛子の匂いが強烈でね(^^;
蕎麦の香りはすっかり負けてしまっていた。
西安の麺料理って、麺は色々かわっても、タレ、スープの味付けがワンパターンという印象…
なにしろ、スープで生の幅広麺を煮込んでしあげる日本のほうとうのような調理法のフイ麺も…


屋台で頼んだ刀削麺も…


みな、羊を使った塩味のスープに浸かって出てきた。唐辛子やラー油とパクチーがたっぷりかかって強烈な香りを放っているところまで同じ(^^;」

山内「刀削麺!(^o^) 
生地のかたまりを肩にかついで、包丁でスパスパ削っては鍋までとばしていく…アクロバティックな麺ですね! 
都内にも西安刀削麺ってお店がいくつもあります。西安が発祥の地なんですね?」

鳥居「それが…坂本先生によれば、刀削麺は山西省の麺が中国全土に普及したものだそう。
その店は、店のオーナーや麺職人の出身地が西安なのかもしれないね(^^)」



山内「これも…刀削麺? ほんのり黄色い幅広麺ですけど(^^)p」

鳥居「これは炒餅(チャービン)。泡餅(パオビン)ともいうそうだ。
写真ではわかりづらいけど、焼いたナンを麺のように切ってある。
牛でとった薄いスープに浸して食べるんだ。ごく淡い味だから、卓上の塩、唐辛子をかけて好みの味にする。
浸した炒餅は柔らかくはなるが、味、食感どちらをとっても麺にはとてもかなわないね(^_^; 

坂本先生のお話によれば、もともとは中国西部から伝わった料理だそう。
シルクロードを通じて小麦文化、麺文化が東西を往来しあうなか、餅(ナン)が麺にきりかわる過渡期の姿を今にうつす料理…といったところかな。麺料理に歴史あり、だね」

山内「なるほど…。
餅(ナン)をちぎってルーやスープにひたす食べ方より、もっと食べやすく、もっと美味しくなる方法はないか…
人々の探究心と試行錯誤が、餅から麺への進化を推し進めたのかもしれませんね(^^)」

わんこそばに餃子占い… 現地のユニークな麺文化を体感

鳥居「3日目に行った岐山で食べたサオズ麺は、食べ方がユニークだったな。
小さな器に唐辛子と酸味をきかせた豚肉のスープと一口くらいの量の幅広麺が入っている。
食べる前に、スープは飲まないで麺だけ食べて、と『お作法』を指示された(^^;

言われたとおり、目の前の麺だけをつるつる…(^o^)
あっという間になくなった。
そこへすかさず細麺が追加され…つるつるっ(^Q^)


食べきると次は幅広の翡翠麺(ほうれんそう入り)が。
つづいて細翡翠麺が…


つまり、中国版わんこそば、って感じだね(^^)b"
スープの味がちょっと薄すぎたけど、楽しかったよ」

山内「種類の違う麺を少しずつ色々食べられるって嬉しいですよね(^Q^)
日本のお店でも取り入れやすいし、わんこそばならぬわんこラーメン大会なんか企画したら、盛り上がりそう」

鳥居「この中国版わんこそばは、日本のテレビ番組でも紹介されたことがあるんだって。
ただ、我々が聞いた『スープは飲むな』というお作法。本来のものとはかなり変わっているらしい。
昔は麺を食べて残ったスープをいちいち鍋に戻していたんだって。おかわりを重ねるうちに、皆のスープがまじりあうことから、涎麺とか仲良し麺と呼ばれていたそうだ。
もちろん、現在は不衛生だからこの食べ方は禁止されているとか(^^)b」

山内「おもしろいですね。 
同じスープを皆でわかちあうって、今の私たちの感覚では確かに受け入れがたいけど…
当時はともに食卓を囲む人どうしの絆を確かめ合い、強化する…一種のまじない、儀式的な側面があったのかも?
日本の固めの盃の儀式にも通じるものがあるような気がします(@@)」

 

山内「これは…全部餃子ですか?(@@;」

鳥居「そう(^^)b
西安の徳発長餃子館という老舗で食べた餃子宴の写真だよ。
100種以上もの餃子メニューがあるなかから、味も形もユニークなものが18種類くらいは出たかな。
水餃子、焼き餃子もあったけど、大半が蒸し餃子でね。
浮粉を用いた皮が美味かった!
透明感があってソフトで…
生地が色づけしてあったり、動物のカタチにしてあったりと見た目も華やかだった。

なかでも珍品は太后火鍋剛餃。
西太后が好んだという料理で、別名が真珠餃子だって。
ごく小さな餃子が器にこんもり盛られて来る。餡は鶏のささみだ。

卓上の鍋には鶏と鴨のスープ。この中に、きのこ、黄ニラ、グリンピースを入れて鍋に点火。そこに真珠餃子を入れ、煮えたら、スプーンで器によそっていく…。
器に入った餃子の数で運勢を占うんだって(^^)p おもしろいよね!」

山内「占い(☆∇☆)! 
いかにも西太后が愛した宮廷料理って感じですね。
優雅というかロマンティックというか?♪
それで、鳥居隊長の運勢はいかがでしたか(^m^)」

鳥居「秘密(^b^)。
ちなみに大塚君の器に入った餃子はたった1つ。
占いの結果は…これから先、ご無事で、というものだったよ(^^)」

山内「旅の無事を祈るメッセージのようでいて、波瀾万丈の未来が待ち受けている暗示めいてて…
さすが権謀術数渦巻く宮廷に伝わる占いだけはあるわっ(((@m@;」

鳥居「うがちすぎじゃない…?(^^;ゞ
占いどおり、その後の視察は順調に進み、全員が無事に帰国できたよ(^^)v」

米皮の美味しさに脱帽!

山内「そういえば中原エリアでは、米の麺も普通に食べられていたとか。
例えばどんなメニューがありました?」

鳥居「西安からバスではるばる出向いた田舎町で食べた米皮(ミーピィ)は、かなり美味しかったよ。バスで3時間がかり…という田舎の小さな店なのに、1日千食も売るという繁盛店だった」

山内「米皮…。雲南省のビーフンみたいな感じの麺ですか? あらかじめ米を発酵させるような?」

鳥居「発酵させてはいなかったね。
米を水につけておいたものをひいてペースト状にし、専用の調理器に薄くのばして蒸していた。
この平たい生地をたたんで刻み、麺状にしていく。相当手間ひまがかかっていたよ」

米皮にはもやし、刻みにんにく、青菜をのせ、ラー油がきいたタレをかけ、まぜて食べる。
日本の米粉の麺とはまったく違う食感、味わいで美味しかった(^Q^)
米皮は日本で出しても売れそうだよ。タレや具も様々なバリエーションが期待できるしね。
現地での製法をうちの工場でそのまま導入することは難しいが、米を使った美味しい麺の開発は、数年来のテーマ。さらに研究を進めていきたいね(^^)

中原の多彩な麺とその調理法、食べ方や作法を含む文化的側面…
毎年のことながら中国視察は刺激的だね。これを糧に、お客様の笑顔を創る商品開発にいっそう励まなきゃ!p(^^)q」

山内「美味しい新商品の登場を、楽しみにしています(^^)」

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