ジャカルタ、シンガポール視察報告 | お役立ち情報 | 大成食品株式会社

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イベント、その他、中野本社 | 2012.07.16

ジャカルタ、シンガポール視察報告

ジャカルタ、シンガポール視察報告

大成食品(株)の鳥居代表が5月4日~9日に、インドネシア共和国の首都ジャカルタとシンガポールを視察してきました。
現地のらーめん事情、フードビジネスの動向についての報告をご紹介します。

 

 

日本食ブームにわくジャカルタとシンガポールを視察!

鳥居「今回はジャカルタで2泊。7日にシンガポールに2泊してきたよ。どちらも経済成長著しく、中間所得層が急増している巨大都市だ。若年層が多いこともあって、現地の外食ニーズが高いんだ(^^)b」

☆外務省サイトより:インドネシア共和国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/indonesia/index.html
約1万8000の島々からなる国で、面積は日本の5倍。人口約2億4000万人は世界第4位にあたる。国民の8割以上がイスラム教徒。
首都ジャカルタは東南アジア屈指の商業都市で人口は約950万人。

☆同:シンガポール共和国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/
マレー半島の最南端に位置する都市国家でイギリス連邦共和国。面積は東京23区とほぼ同じで人口は518万人。人口の3/4が華人、マレー系13%、インド系9%、その他3%。うち、日本人は2万6千人でASEAN諸国の中では最も多い。

鳥居「長引く不況と食のデフレを背景に、日本からの出店数が近年急増している。ジャカルタの公式サイト(http://www.jakarta.go.id/)には、日本食の店が113店も紹介されているほどだ。
特に、最近繁盛しているのがらーめん店。
日本の有名店が続々出店しているよ(^^)p」

ジャカルタで待っていたのは…(^m^)

鳥居「そもそも今回の視察は、昨年のシンガポール視察でジャカルタ在住の元社員・伊藤さんと再会したのがきっかけなんだ」

※鳥居代表が視察したのは、シンガポールで開催された日本の食品、フードビジネスをPRする商談展示会「かんばろう!日本 Taste of Japan」
http://www.oishii-world.com/indexJP.html

鳥居「そんなご縁から、ジャカルタでは主にタイチャンを回ることに(^o^)」

山内「タイチャン?大成食品(株)マスコットキャラクターの?(@@)」

      

鳥居「そう。
大成食品(株)は30年前にジャカルタにタイチャンラーメンを出してるんだよ。そこを切り盛りしてくれたのが伊藤さんだ。
当時現地に住んでいた日本人は約2万人。日本食を食べさせる店が少なかったからタイチャンは大繁盛(^^)
3年後には伊藤さん夫妻に経営を任ねたというわけ。

以来30年。
インドネシアの政治も経済も激変したのに、タイチャンは今なお繁盛店だ(^^)」

山内「ジャカルタで30年続く繁盛店!? どんなお店だったんですか。早く写真を?(^^)/"」

鳥居「ビジネス街、繁華街、日本人が多く住むエリアにある3店と、居酒屋タイチャンというらーめんダイニングを視察したよ。
このほか、ジャカルタ近郊のショッピングセンターに6店出しているそうだ」








山内「店がまえはどこも立派ですね(@o@)」

鳥居「現地の出店規制が厳しいから、ショッピングセンター内に出店することが多いらしい。席数は20数席 ~50席くらい。らーめんのほか、とんかつ定食、からあげなどもある。昔の日本の中華屋さんのような品揃えだね(^^)」

山内「お客様は日本人中心ですか?」 

鳥居「いや、ビジネス街のタイチャンは日本人1割、現地の方が9割。常連客も多かった。一方、ブロックMという繁華街にある居酒屋タイチャンは8割が日本人客だ」

山内「現地の感覚からすると、売価はかなり高いのでしょうか?(@@)」

鳥居「らーめんは日本円にして1杯400円前後。ジャカルタの大卒の初任給は20万程度で日本とほぼ同じ。現地の普通の人は1食に100円程度しか使わないそうだから、かなり贅沢な食事だよね。日本人がフレンチを食べる感覚に近いかな?
高価でもお店は繁盛していた。現地の中間所得層の厚さが伺えるね(^^)」

「タイチャン」が30年間愛されている理由は?

山内「らーめんのお味はいかがでした? 30年前と同じ?それとも現地化されてココナツミルク味とか辛酸っぱくなってた、とか?(^Q^)」

鳥居「味は昔ながらの東京らーめんに近かったね(^^)b
塩味、濃度ともに今の東京のらーめんを食べ慣れた舌には薄く感じられた。たぶん、鶏しか使っていないせいだろう」

山内「鶏しか…?(@@)??」

鳥居「30年前にジャカルタに出店したときはお客の80%が日本人だった。あとは中国系など非イスラム教徒だったから、スープには(イスラム教徒にはタブーの)豚も入っていたし、チャーシューも載っていたんだ。

今は9割以上が現地の人。当然、味の現地化が進んでいて、豚は徹底排除。
塩味もやや薄い。
トッピングも豚が使えないから牛肉か鶏肉。パクチーなど現地ではおなじみの食材、スパイスを使っている。

味創りはあくまで経営者の好み、方針にもよるけど…
商品をうまく現地化したから30年もの間、繁盛店でいられたんだろうね」

山内「タイチャングループの麺はどうしてるんですか? 乾麺? 生麺を日本から輸入してるとか?」
鳥居「自家製麺だよ。ミキサーや製麺機などは完備されていた(^o^)」

30年前の出店当時は、日本食が食べられる店自体が稀だった。同時期にジャカルタに出店した店の8割がつぶれた中で、今なお繁盛店でありつづけるタイチャンは凄いと思う。
だが、ジャカルタ在住の日本人は今や30年前の2倍。現地の人も日本食になじみ、舌が肥えてきている。
一方で、日本食の店、らーめん専門店…
最新の日本の味を提供する競合店は今後さらに増えていく。
ジャカルタのタイチャンに今後も繁盛しつづけてもらうために、我々も協力しなくては!
まずはタイチャンチェーンの製麺やスープの味創りのグレードアップをサポートしたいね。
我々にとっても勉強になるし、新たなビジネスの可能性が広がるはずだ(^^)b」

ジャカルタの食事情と出店時に想定すべきリスク

鳥居「ジャカルタでは10年ほど前から日本食の人気が高まっていた。今はブームの時期を過ぎ、定着した感がある。牛丼、とんかつ専門店、焼肉、居酒屋、うどん、寿司、ハンバーガー、ファミレス、持ち帰り弁当…たいていの業態が揃っていた。
まだ日本ほど専門化、細分化はしていないが、中国の味千拉麺のような、らーめん店で寿司もてんぷらもうどんもパフェも食べられる…というような品揃えとは明らかに違う。
ジャカルタの外食市場は着々と成熟しているね」

山内「日本のらーめんも人気があるようですね」

鳥居「らーめんを出す店は市内に50店ほど。店舗数はまだ足りない感じだね。たとえば、丸王らーめんのように、日本での知名度は低いが現地で長年チェーン展開している企業が複数ある。丸王のスープは鶏白湯のこってり系だったよ。

一方、最近出店したばかりの山頭火、一幸舎は豚骨だ。それも日本とほぼ同じ味!
海外では全般に豚骨らーめんが好まれる傾向があるが、(豚を禁忌とするイスラム教徒が8割以上占める)ジャカルタでも豚骨らーめんが支持されていたのは興味深かった。豚を口にするのはタブーだけど食べてる、って人がいるようだ。イスラム教にも戒律の厳しい宗派、厳しくない宗派があるらしい(^^;」

今後も多くのらーめん店がジャカルタに進出するだろうが、シンガポールほどの勢いは期待できないだろうね。
飛行機で7時間かかる地理的条件に加え…やはりイスラム教徒の人口の多さがネックだ。
近い将来、競合店が増えてきたら、全人口の2割しかいない非イスラム教徒だけがターゲットではやっていけない」

山内「イスラム教徒でも食べられるらーめんを開発すれば大丈夫じゃないですか?(^^)
鶏ガラ醤油とか、鶏白湯のスープ。トッピングは鶏チャーシューやシーフード…とか♪」

鳥居「そのレベルでならもちろん対処できるんだが…
イスラム教徒でない者には、タブーとなる豚の範囲、調理法がよみきれないからね(^^;」

山内「ああ…日本の食品メーカーが豚由来の酵素を製造工程で使ったために、国中からバッシングされたという事件が過去にありましたね…(@@;」

鳥居「現地の人と交流し、情報収集に努めること。宗教上タブーになる材料、製法を把握した上で商品を開発すること…などがリクスマネジメントが重要だろうね」

市場の成熟が進むシンガポール

鳥居「ジャカルタよりもシンガポールのほうが外食の市場は成熟しているね。もともと外食文化が根付いている上、新しいもの好き。食への関心が強い中国系や日本人が多いから、宗教の縛りも緩やかだ。
らーめん店以外の日本食の店がすでに1000店以上あるらしい。
寿司、しゃぶしゃぶ、うどん、定食、牛丼、日本のハンバーガーチェーンや焼肉チェーン、居酒屋…日本にある業態はほぼ揃っている。現地の人が経営する日本食レストランも多い。
長年シンガポールで営業している店はフードコートに進出しているが、日本のような専門店は少ないかな。定食屋でも寿司があるし、らーめん店でも餃子、からあげ、焼き鳥もある。
ジャカルタほどメニュー数が多くはないが、日本ほどで絞り込んでもない。
食市場の成熟度は、日本>シンガポール>ジャカルタ という感じだね(^^)


日本のらーめん店は100店ほど出店しているね。1店で味噌、塩、醤油が揃っている店がある一方、豚骨らーめん、旭川らーめんの専門店も繁盛していた。
日本の有名店を集めた集合施設・らーめんチャンピオンも盛況だ」

☆らーめんチャンピオン
http://www.ramenchampion.com.sg/
山内「では、今からシンガポール進出を検討するのではすでに遅すぎる、とか?(@@;」

鳥居「シンガポールの面積は東京23区とほぼ同じで、人口は東京の半分弱。それで100軒程度なら、まだ圧倒的に店の数が足りないと思うよ(^^)
物価は日本並みに高いのに、日本円にして1杯800~1000円の売価で飛ぶように売れる。集客が見込めて客単価に高いという条件は魅力だね」

リスクに立ち向かう覚悟を創ろう!

鳥居「ジャカルタ、シンガポールは今、大型ショッピングセンターの建設ラッシュだ。地下鉄網が整備された郊外にマンション群と巨大なショッピングセンターが続々と建つんだよ。ショッピングセンターには必ず2店以上、日本のらーめん店が入る。中央地区だと3、4店入ることもざらだ。こうして、日本のらーめんは急激に現地に普及、浸透していくだろう。
幸い、まだ特定の店のブランド化にまでは至っていない…参入して成功するチャンスはまだありそうだ。現地の人が美味しいと感じたものなら、値段が高くても支持され、生き残れる!
味創りに自信がある店主こそ、海外に目を向けてほしいね(^^)」

山内「でも…海外出店にはリスクが……(^^;」

鳥居「確かに。
海外での儲けを日本に持ち帰れるのか、投資が回収できるのか…。言葉、文化、宗教の壁。商習慣や法制度の違い。現地の業者やスタッフを見つけること。彼らと信頼関係を築くことも国内での開業に比べたらはるかに大変だろう。

だが、世界市場は無限だよ(^^)b
70億人の人口が毎年8000万人ずつ増えている。インスタントらーめんが世界中に普及したように、おいしいと支持されれば売れるんだ。
特に所得がのびているところで需要が高まる。
南米、アジアの新興国は好景気にわいている。特に今回視察したジャカルタ、シンガポールは毎年5~10%もの経済成長を遂げている。
一方、国内は少子高齢化が進んで今や人口は減る一方。10年先、20年後の日本の食市場は確実に縮むよね…。首都圏なんかオーバーストア状態だし、長引く食のデフレで消耗している。おいしいらーめんを出していた店が半年で閉店に追い込まれる例も珍しくない…。

国内でやろうが海外でやろうが、開業にはリスクが伴うんだ。
リスクと向き合う覚悟を創り、行動する意志と情熱を持つことが、繁盛店主への第一歩だね(^^)/」

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