第14期 卒業制作発表会 | お役立ち情報 | 大成食品株式会社

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鳥居式らーめん塾、中野本社 | 2011.03.27

第14期 卒業制作発表会

第14期 卒業制作発表会

鳥居塾長「2月5日に開講した14期も今日で終了か。
東日本大震災を挟んで、塾生にも我々にも忘れがたい2ヶ月になったね」

荻原@鳥居式らーめん塾事務局長「地震の日は9期生荒井さんの『麺や木蓮』に出かけ、電車が止まったために船橋で夜明かしするはめに。
深澤君は渋谷で被災し徒歩で帰宅。講師陣も帰宅難民になったり、家具が倒れたり、実家が損壊したりで大混乱。ろくに連絡がつかないまま第7回の朝を迎えたわけですが…」

福井味創り担当講師「(被害が甚大だった)千葉県銚子市の伊藤さん、長野市の鈴木(優太)さんは電車が動かず駅で足止めでしたが他の4人は出席。講義は翌週以降に振り替え、味創り実習を進めました」

山内「日曜には全員揃い、ニコニコしながらスープを炊いてましたね…14期生のらーめんに賭ける情熱と覚悟に感激しました」

深澤@事務局「混乱した状況の中、全員が全課程を履修して卒業式を迎えられて本当に良かった、感無量~(p_T)」 

卒業制作の厳しい課題に塾生は…

14期6人は、4班に別れて前日早朝から準備を開始。自ら開発したレシピによるらーめん3種とつけ麺を制作する。
レシピには条件が課されていた。
福井「即営業用に使えるレシピで原価率35%未満。トッピングはねぎ以外に3品以上必ずのせること。らーめんは売価税込み650円(税抜き619円)。つけ麺は売価税込み750円(税抜き714円)で麺量は200g以上」
しかも!
福井「今回はデフレ傾向をふまえ、売価を30円ずつ切り下げました」
ハードルがぐんと上がっている。おまけに
福井「震災の影響で野菜が急騰、A、B班が多用するショウガが特に上がってました。原価計算がさらに厳しくなりましたね」
電卓を叩いては頭を抱える塾生たち…。
「これじゃ柚子が載せられない。スプラウトのミックスも断念か…(泣)」
「麺で調整する? それともスープ?」
「チャーシューを紙みたいに薄く切らなきゃだめかも?」
1グラム、1円単位の攻防が続く。

A班(鈴木@スーパーの総菜製造部門勤務&今井@「へいぼん」店長)、B班(大山@「大山家」店主&吉田@「えじまん」店長)は原価計算完了。
どちらも早朝のうちにスープ、トッピングが完成。タレとスープ、香味油類の量を調整する味合わせ作業まですませていた。
2日がかりで濃厚スープを炊き込むC班、C´班に比べるとやはり余裕がある。さすがプロ!
 

A班はプレゼンの準備に着手。
最年少24歳の鈴木さん。シャイで発表が苦手、という印象があったが
鈴木「――ショウガにはデトックス効果があり…」
原稿を書いては読み上げる声量がぐんと上がっていた(@@)
今井さんは、お店と塾を往復しては
「コック服借りてきたから着替えてね。ジュレの器も買ってきたよ。
伊藤さん、あぶりチャーシュー用にバーナー借りてきました。小島さん、切れる包丁を持ってきたから使ってね!」
塾生全体を細やかにサポートしている。

B班はホワイトボードとにらめっこ。
大山@東京都武蔵野市「郷愁を誘うような、懐かしくてあったかい名前をつけたいな。故愁中華そば、ってどう?」
吉田@愛知県小牧市「愁の字が寂しい感じ。俺らのらーめんは、昔ながらの製法でも味は一歩も二歩も先行っとる。あんまり古びた感じの名前にはしたくないし?」
キャッチーでコンセプトを端的に表現できるネーミングを懸命に模索していた。

未経験で一人班の仕込みも順調

C班 小島@岐阜市「スープができました。タレを変えて試作しますね!」

携帯販売業を営む小島さん。飲食業未経験で調理経験も少なかったが、福井講師の指導と大山さんら現役組のサポートでめきめき上達。無事、イメージ通りのスープが完成したよう。

吉田「タレは醤油より塩があうんじゃ?」
大山「麺との相性が…」
荻原「麺はスープレシピにあわせて開発した特製品ですが。別のにしますか?」
小島「はい。荻原さん、もっと低加水の麺をお願いします!」 
迷いのない言葉に、学びの成果が伺えた。





C´班・伊藤さんは小島さんと前日から豚鶏ほぼ半々の濃厚スープを炊いていた。これを日曜朝の段階でとりわけ、さらに魚介を加えて煮込み、濃厚豚骨魚介つけ麺を作るという。
伊藤「(撹拌しながら)あぁ、船を漕いでるみたい♪」
楽しげにスープを炊きあげると、スープ総取れ高の計量と濃度を計測。
伊藤「先生、Blix16です!(^m^)」
一同「じ、16っ?(@o@;)」
福井「過去最高か、素晴らしい!」
厨房内は大興奮。今日はとびきり濃厚~なつけ麺が食べられそう!

緊張感みなぎる発表会。審査員の「愛の鞭」に感謝!

午後2時。
ラーメン評論家、ラーメンジャーナリスト、ラーメン王のお三方を審査員にお迎えしての卒業らーめん発表会が始まった。
まずは白いコック服で決めた鈴木、今井組から。

鈴木「ラーメンイコール男性というイメージですが~」
ラーメン業界の超有名人、トレンドメーカーたちの前で堂々と発表している。
「あのシャイな鈴木さんが…立派になって…(p_;)」と感激するスタッフとは対照的に
「丸の内という立地はなぜ?」
「ジュレを入れるタイミングは? お客様にどうご提案するの?」
審査員の皆さんからは鋭い質問や厳しいご指摘が! (@@;)(^m^;)


A班 鈴木、今井組
・作品名 美肌ラーメン(鶏清湯 塩)
 

・想定するお店の立地 比較的感度の高いビジネス立地。東京では丸の内。 
・ターゲット 女性
・売価税込み 650円
・原価率 32%

☆美容効果の高いスープ=コラーゲンたっぷり、を意識してモミジ、豚足をふんだんに使用した清湯スープに煮干しベースの和だしをあわせた塩らーめん。ショウガをきかせてさらにヘルシーに。
☆麺は22番の大成食品製 低加水ストレートタイプの細麺 110g
☆具は鶏ももロールチャーシュー、白髪ネギ、だしでさっと炊いた穂先メンマ、水菜、オニオンスライスと貝割れ菜
柚子とコラーゲンのジュレ:さらにコラーゲンを追加したい人のために別皿で提供。

【審査員(ラーメンジャーナリスト)講評】
丸の内とはいえ、麺110gで650円は厳しいかな。女性客を意識したメニューでも、男性を切り捨てないコンセプトを立ててほしい。
らーめんはおいしかったが、ややインパクトに欠けたかも。ショウガの美容効果を強調するなら、別皿におろしショウガを添えるなど目に見える形で売るとよりアピールするだろう。

【鳥居塾長感想】
おいしいけど、店主の主張が足りない気がする。震災後の厳しい競争に勝ち抜くためには強い主張、個性が必要だ。

卒業制作はすべて福井講師が最終チェックをし、合格点を出したものばかり。即、営業用に出せるレベルに達している。過去13回の卒業制作と比べても甲乙つけがたい出来だ。
にも関わらず、審査員の皆さんからのご指摘はいつになく手厳しい。
鳥居「愛の鞭だね。震災後の激動する業界動向をふまえての親心なんだよ。ありがたいね」
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B班はお揃いの赤いねじりはちまきをしめて登場。
 

ネーミングは「ふるさと中華そば」に落ち着いたよう。
大山「意識したのは長岡のしょうが系。バランスが良くて、いつまでも愛され、最後に行き着くようならーめんを作りました」
半袖のユニフォーム姿で、B班のコンセプトと狙いを熱っぽく語る。

B班 大山、吉田組
・作品名 ふるさと中華そば
・想定するお店の立地 立地郊外の駅近
・ターゲット 10~60代
・売価税込 650円
・原価率 34.9%

☆新潟風をイメージした豚骨ベースのスープにチャーシューの煮汁、生姜で風味づけした香味油で味付けした中華蕎麦。
☆麺は18番中太多加水縮れ麺 130g
具はほうれん草、なると、穂先メンマ、ゆで卵、肩ロースチャーシューは50gとボリュームたっぷり。

【審査員(ラーメン王)講評】
さすがプロ、ご自身が出したいものの意識、意図が隅々まで行き届いている様子が明確に感じられてとても良かった。
ショウガ風味の濃い醤油味に、味つけしないゆで卵、麺の柔らかさも新鮮でおいしく感じた。
スープたっぷり、は狙ったのだろうが、せっかくのチャーシューが沈んでしまって残念だった。盛りつけにもう少し工夫が必要だろう。

【塾長講評】
B班のらーめんが出てきたとき、確かに主張がある、と感じたよ。味も大変良かったが、おしいのは麺との相性。もう1番太い方がよりマッチしたと思う。

過去最高濃度のスープ、審査員の評価は?

プロコンビ2班の発表のあとは、C班小島さん@携帯販売業、C´班伊藤さん@ドラッグストア勤務 が登場!
飲食業未経験者が1人で卒業制作に取り組むのは、10期の水谷さん以来だろうか。

二人は食べ歩きを重ねて憧れの店、惚れ込んだ味に挑みたいと決意。
ともに強火で炊く濃厚スープ。火口の数の関係もあって、土曜?日曜朝までは同じ寸胴でスープを炊き、その後二つに分けて各自仕上げることになった。

福井味創り担当講師「実は…あまりにスープが濃厚で、危うく焦がすところだったんですよ。すぐ気づいて別鍋に移したから大事には至らなかったけど」
山内隊員「スープが焦げたのは3期以来? 高いスープを焦がしたら原価計算がさらに厳しくなりますね(^^;)」

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C班 小島@岐阜市
・作品名 京都白湯らーめん
・想定するお店の立地 郊外
・ターゲット 子供?40代
・売価税込 650円
・原価率 34.9%

☆鶏、豚約半々を炊き込んだ濃厚な京都風の白湯らーめん。脂類がしっかり炊き込まれているため、香味油は加えていない。
☆24番の細麺。低加水ストレートタイプ 120g
☆具は京都ならではの九条ネギを大きめに刻んだもの。外ももチャーシュー、辛みを強めにつけためんま

【審査員(ラーメン評論家)講評】
経験不足のせいだろうが、盛りつけ方に工夫の余地あり。たとえばチャーシューは重ねて盛るのか全部広げて盛るのか。九条ネギをどう刻み、白いところ青いところをどんなバランスでのせるかとか。細かいことだけど印象は大きく変わる。スープはとてもおいしかったが、京都の繁盛店のインスパイアを作ろうとしているのか、個人の好みの味を作りたいのかを明確にしなければ、将来路頭に迷いかねない。これが好みの味なら、舌を信じて出し続けてほしい。

【塾長講評】
全体的によくまとまっていておいしい。麺とのバランスは一番あっていると思う。盛りつけ、主張すべきところをもっと主張する、この2点に気をつけるとさらによくなるだろう。
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C´班 伊藤@千葉県銚子市
・作品名 豚骨魚介つけ麺
・想定するお店の立地 ロードサイト
・ターゲット 20?50代
・売価税込 750円
・原価率 34.8%

☆鶏、豚約半々を炊き込んだ濃厚スープに魚介を投入しさらに煮込んでBlix16と過去最高の濃度に。
甘酢、一味、しょうゆダレで調味。
☆多加水でかんすい控えめのつけ麺用の太麺12番を200g
☆具は炙ったバラチャーシュー、穂先メンマ、白髪ネギ、味玉を麺にのせる。

【審査員(ラーメン王)講評】
ベースは同じスープのはずなのに、Cのカラーがなくて驚いた。自分の好きな味を創りたい、という想いはよく伝わった。
原価の都合なのか時間切れなのかわからないが、スープ割がなかったのは残念。スープ割りにもいろいろなパターンが考えられる。個性を主張でき、他店と差別化する武器になるのでぜひ検討してほしい。

【塾長感想】
具が塩っぱかった以外はおいしかった。もう少し麺は柔らかくてもよかったかも。
審査員の皆さんの愛の鞭はみんなに伝わっただろうか。いただいたご指摘を持ち帰り、研究してほしい。
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続いて卒業らーめんコンペの審査開始。
多数決によりB班が1位、僅差でC班が2位、という結果に。
福井「安定感と主張が際立つB。一番心配した(笑)小島君のCも善戦しましたね。焦げ臭がつかない段階で手を打てたし、直前に麺をかえたのも効いたね」
深澤「どの班も事前のレシピを参考に特製麺を用意していたのに、味合わせ段階で定番の麺を使うことに…。スープと麺の相性は実に奥が深いですね」
鈴木@メディア戦略講師「今期もハイレベルな接戦でした。他の2品もファンがつく味です」
山内「好みやターゲットの違いがありますからね。ごちそうさまでした(^人^)」

卒業生に贈る言葉は…

続いて卒業式!
塾長から卒業証書が手渡された。
鳥居「ご卒業おめでとう。この塾が教えるのは基礎基本だけ。繁盛店主になるための修行はこれから始まり、ここからが出発点です。
世間においしい店はたくさんある。その中で一歩抜きん出るためには、何をすべきか。課題は先ほどのご講評でわかったはずです。
大震災のため経済も業界内も状況が一変した今、どんなお店を構え、どんな人生を歩みたいか。
よく考えて新たな一歩を踏み出してください」

福井「皆さんと一緒においしいものを創れて本当によかった。
どうか、お客様を喜ばせたいという気持ちをずっと忘れないで。想いがこもった味なら外さないし、お客様にも必ず伝わります」

審査員(ラーメン王)「先ほどは結構きついことを言いました。店を始めてからお客に駄目出しされたらもうおしまいの厳しい世界だからです。今、駄目出しされたのはいい機会だったと、自信をもって前進してください。
店を出すからには勝たなきゃ。(震災後の)こんなときだからこそ、みんなで日本を元気にしましょう。がんばれ14期生!(^^)/"」
愛の鞭をふるってくださった審査員の皆さんも皆、笑顔。14期生の門出を心から祝ってくださっていた。

14期生6名の未来に幸あれ!

卒業生も一人ずつ謝辞を述べる。
伊藤@千葉県銚子市「塾を卒業してもまだスタート地点にも立っていない状態ですが、今後とも叱咤激励をよろしくお願いします」
開業の夢を塾で問い直した伊藤さん(43)は、じっくり道を模索するという。
今井@「へいぼん」店長「皆さんの成功を祈りつつ、まずは新商品で『へいぼん』をさらに繁盛させたいです!」
力強く宣言した今井さん。開発した新製品を近々店長会議で提案する予定とか。ヒット商品誕生に期待したい。
大山@武蔵野市「ラーメン店主になって15年。(魚介系の)技術を求めて入塾したが、ここで良い先生、仲間に出会えたのが一番の収穫です。ありがとう!(p_;)/」
大山さん(49)のお店(「ラーメン大山家」本店 武蔵野市境南町5?3?16/青梅店 青梅市新町9?2054?2 http://www.oyamaya.com/)の限定メニューに「ふるさと中華そば」が登場する日は間近のよう。
入塾以来、ぶれずに京都風白湯らーめんを追求しつづけた小島さん(34)も感極まった様子。
小島@岐阜市「調理の基礎も知らなかった私に、最後まであたたかいご指導をありがとうございました」
今後は物件を探しながららーめん修行を続けるとか。
吉田@愛知県小牧市「今日、まさかこんな熱い気持ちになれるとは…。4月か5月には『えじまん』(愛知県小牧市三ツ渕1696ー1)の店長になりますが、人間的にも成長し『さすがプロだな』と言われるようがんばります」
7期生鈴木満さん@「すずまん」店主 の勧めで入塾した吉田さん(38)の瞳も潤んでいる。
鈴木@長野「14期の仲間と出会えて、最初よりずっと自分を出せるようになりました。店を出したら、もっと自己主張して、みんなに変わったな、と言ってもらえるようにがんばりたいです」
24歳の凛とした決意表明に、大きな拍手が起こった。さらに、審査員の皆さんに歩みより、訥々と将来設計を語る鈴木さんに目を細める鳥居塾長。
鳥居「頼もしくなったねえ…(^^)" 濃密な2ヶ月を経て大きく成長したと思うよ。震災後の動向は混沌としているが、ピンチこそチャンスだ。
14期生よ、めざせ、繁盛店!」

☆14期生の今後の活躍にご期待ください。
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