「第11回 “麺”夢塾」レポート | お役立ち情報 | 大成食品株式会社

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お取引先、卒業生のらーめん店、商品開発研究会、中野本社 | 2011.03.24

「第11回 “麺”夢塾」レポート

「第11回 “麺”夢塾」レポート

3月22日、24日に、大成食品本社会議室にて「第11回“麺”夢塾」が開催されました。
「“麺”夢塾」は、既存店店主を対象に売れる商品づくりのヒントを提供し、売り上げ増に貢献する新商品研究会。

3月11日以降も強い余震が続き、物資や燃料不足、計画停電、水や食品の汚染…と悩ましい日々が続く。
だが、今は義援活動を進めつつ粛々と本業に励もう。
お客様のご繁盛のお手伝いをしよう。
それが経済の活性化と復興支援につながる…
との思いから、予定通り今回も火曜、木曜の2回開催となりました。 首都圏を中心に、遠くは鳥取、大阪、長野、山梨から、のべ15名の既存店オーナー、スタッフの皆さんが出席してくださいました。

*****
山内@食べ歩き隊「先日の地震、大成食品の社屋や皆さんの被害は? 東北地方の塾の卒業生の皆さんはご無事でしょうか」
鳥居「おかげさまで大成食品の社屋、工場、店舗はもちろん、従業員一同も無事でした。『麦家』@千葉県成田市 では丼類が破損したけどね。
ただ、東北沿岸部の(製麺業の)仲間たちは深刻な状態。復旧までには相当時間がかかりそうだ。
それに、被災地出身のスタッフやお得意様、親族や仲間たちの安否がわからない人、お店が被災したお客様もいらっしゃるから…」
荻原@鳥居式らーめん塾事務局長「塾の卒業生はご無事でしたよ。11期生・大室さんの『麺屋 紅富士』はガスがまだ復旧してないとか。青森の5期生・奈良さん@『麺屋 しゅはり』、9期生・今さん@『麺処 駒繋』は通常通り営業されてますよ」

鳥居「毎回青森から新幹線で通ってくれた奈良君も、さすがに今回は欠席か…。皆勤賞は山梨の矢崎さん@『らーめん がんちゃ』だけかな」

 

厨房はプチ同窓会状態!?

厨房では“麺”夢塾でご提案する春夏向け新商品の仕込み中。
卒業生たちが福井@味創り担当講師を囲んでいた。

11期石井@「麺王者 井岡亭」(大阪市北区)「先生、このタレはどないして仕込むんですか?」
福井@大成食品商品開発マネージャー「こちらに詳しいレシピ用意してありますよ。
岡本さん、今回も商品撮影よろしくね」
鳥取から駆けつけた「麺処 三鈷峰(鳥取県米子市)」店主 岡本さんは9期生。元カメラマンの登場に、いそいそとデジカメを手渡す福井講師だった。



福井「岡本さんには白い器に盛ったほうを撮ってもらおうね。



福井「あれ、えらく鶏が多くない? 鶏肉一枚全部のせちゃった?」
厨房スタッフ「しまった?(焦)」
福井「まあ、今回は大サービスということにしておこう。
ただ、皆さんは気をつけてください、メニュー写真と実物が違うとお客様からクレームが来るから」
どんな事態も「教材」にしてしまう福井講師のコメントに、卒業生たち大笑い。

9期生岡本@「麺処 三鈷峰」「皆さん、地震は大丈夫でしたか? 同期の平野さんのお店(「らーめん まぁびん」(茨城県那珂市)は、水道が使えなくて困っているそうです」
話す間にもたびたび強い余震が。
9期生荒井@「麺屋 木蓮」(千葉県鎌ケ谷市 http://menya-mokuren.com/)「近所では結構屋根瓦が落ちてます。計画停電の影響もあって夜は人が全然歩いていない。夏の冷房も今から心配だし、この際、太陽光発電にして自衛すべきかも」
2期生羽賀@でれ助(長野県塩尻市)「荒井さんの(トレーラーハウスの)お店、地震で動きませんでした? あれを被災地まで走らせれば最強なのに。
実は今日、6期生の高橋さん@『麺屋たち花』(長野県千曲市)が定休日返上でチャリティ営業やってますよ。売り上げは全額寄付するそうです。自分も4月以降にチャリティを企画しています」
鳥居「みんながんばってるね。うちも義援活動を始めているよ」
荻原「ラーメン義捐隊の第2弾、第3弾には大成食品から麺を無償提供しています。気仙沼の避難所を訪ね1200食配布したそうです。
麺を出す際、救援物資も一緒に運んでもらいました」
鳥居「今回の活動にはらーめん店514軒(3月中旬現在)が協力。『麺彩房』など大成食品の直営店やお得意様、塾の卒業生のお店も名を連ねている。
皆が皆、現地まで炊き出しに行けるわけじゃないから、積極的に後方支援していくつもり。皆さんもチャリティ営業で全額売上げを寄付するなら相談してね、応援するから!」
五十嵐@葛飾太郎(葛飾区東新小岩5-14-11)「実はうちも来週火曜にチャリティを予定しています。ご協力お願いできますか?」
鳥居「はい、詳細は荻原君と相談してください」
五十嵐「ありがとうございます!」

_<<義援活動ご協力のお願い>>____________

当社は震災直後より「日本ラーメン協会」および
「ラーメン義援隊」の義援活動に協力しております。

被災地の避難所に駆けつけ、1000杯規模でらーめんを
無償提供する活動には、麺と救援物資を。
チャリティらーめんの売り上げ全額を募金されるというお得意様にも麺を無償提供させていただきました。

本社直売所「楽麦舎」では個包装商品を中心としたチャリティ販売。
直営店「麺彩房」中野本店、西日暮里店、五反田店、「麦家」および運営店である「へいぼん」に募金箱を設置しています。

「鳥居式らーめん塾」講師や卒業生有志も上記活動に参加して被災地に赴いたり、地域やお店独自でチャリティを開催するなど一杯のらーめんに被災地の一日も早い復旧・復興への祈りを託す活動を進めております。
皆様の温かいご支援ご協力を心よりお願い申し上げます。

☆当社の義援活動の情報は大成食品スタッフブログに掲載中。
http://tokyoramen.blog45.fc2.com/?q=義援金&charset=utf-8/

☆鳥居代表が副理事長を務める「日本ラーメン協会」では、
お店での募金活動を呼びかけています。 
http://www.ramen-kyokai.jp/

☆ラーメン評論家大崎裕史さんのブログでも
らーめん店主たちの義援活動を紹介。
【Pray for Japan ~RAMEN AID】ラーメンで笑顔になって欲しい!
http://ameblo.jp/oosaki-tora3/entry-10830503370.html
http://ameblo.jp/oosaki-tora3/entry-10838152940.html

卒業生たちの近況は…

深澤@鳥居式らーめん塾事務局「13期・渡辺さん、松井さんの『麺処 一寸道』(さいたま市大宮区)が今ものすごく繁盛していますよ。
計画停電エリアのはずだけど、駅前の好立地だからかな。金曜の夜11時すぎに660玉もの注文が!」

福井「12期生の広村君は4月には愛知県内で開業予定。7期生の「すずまん」に相棒と交互に修行に入ってたそうですよ。今頃店内工事中かな。
14期生の吉田さんも開店準備を始めています。この前はスープ試作もしたしね。
で、石井さんもそろそろ2号店?」
石井@井岡亭「ぼちぼち、ですわ?。詳細が決まったら、真っ先にご報告しますよ」
岡本@三鈷峰「1月に地元のテレビ番組のラーメン特集にトップバッターで紹介してもらったんです。放送中からお店の電話が鳴りだし、2、3月は大忙しでした。先週末は過去最高の売り上げを記録。
ただ、今は厨房が自分ひとり、フロアひとりの体制。体力的に少し厳しくなってきました。職安から求人出しませんかと電話はきたんですが…」
荒井@木蓮「まさにブレイク直前! 一気に繁盛店への階段を駆け上るチャンスですよ、岡本さん。真剣に採用考えて人材を育てなきゃ!」
たちまち採用に関する情報交換が始まった。

22日の特別講義は鳥居塾長が担当

“麺”夢塾は前半が特別講義、後半が新商品提案・試食会となっている。
22日は鳥居塾長が「らーめん業界の今」と題し講演を行った。

鳥居「今年に入って世界の食糧価格は1.7倍に。コーヒー、油はすでに上がったし、秋からは飼料の大豆、とうもろこしが上がる。鶏、豚といった肉類も当然上がるでしょう。円高に助けられてはいるものの、今後、食のデフレが一転インフレになりそうです。
値上げせざるをえなくなりそうですが、今までのデフレに慣れきった消費者はそう簡単には納得してくれないかも。今年いっぱいは難しい立場に立たされそうです。経営の舵取りに注意が必要でしょう。

らーめん業界では、1、2年前に比べ業績の良いところと悪いところの格差が広拡大。マスコミ、メディアに露出していた店でさえ、おいしくないと淘汰されていくのが現実です。
味を追究しつづけ、おいしい商品を開発、提供しつづけることが生き残りの鍵でしょう」
商品開発のヒントはトレンドやヒット商品の観察から得られる、と塾長は言う。
鳥居「たとえば昨年大ヒットした食べるラー油。ラー油自体は昔からあったが、辛さをおさえ、ナッツなどの具を入れたら大ヒット。類似商品がどっと出てきた。既存の商品をアレンジすることからまず始めてみては?」
<中略.お客様向け講演につき概要のみご紹介します>

鳥居「他店と同じことをやっていては繁盛店にはなかなかなれません。えてしてプロはラーメンとはこうでなければ、という固定観念にとらわれ、没個性に陥りがちです。
鳥居式らーめん塾の塾生たちは時々突拍子もないことを言います。プロの発想としてはありえない麺のリクエストとかね。
だが、彼らの発言に新商品のヒントを見出すことも。斬新な発想、ユニークなアイデアは、意外と身近にあると思います」

世界経済や政治の動き、エネルギーや食糧事情。このたびの震災のような自然災害や異常気象…の不安要因をあげる塾長。現状を見る限り、食の世界の未来は厳しくなる一方だ。
鳥居「厳しい時代だからこそ、経営者は時流に敏感になり、商品開発に努めて。自分で観察し、考え、実践することが大切です」

講演後、商品開発への取り組み方や、注目の米粉麺の話題、震災の影響など、質問が相次いだ。
羽賀@でれ助「震災の影響で今後入らなくなる食材はありますか。粉類も品不足になりそうでしょうか」
鳥居「今のところは無いが、直近でたりないのは包装資材と一部銘柄。製粉会社の物流部門が被災したからです。ただ、こちらは数日で復旧する見込み。
外国産の粉はお金を出せば買える。在庫は十分あるはずです。
経済成長著しい中国の消費増が不安材料かな。中国産蕎麦粉は国内で消費され、中国から出なくなり、20%以上も値上がりした。
大豊作にならない限り、食糧価格がこれ以上下がることはなさそう。
計画停電がある地域では、営業時間が圧縮され、売上げに影響が出ています。外食意欲の冷えこみがどのくらい続くのか。先行きは不透明ですが、ピンチこそチャンスです。
日本人は舌が肥えているから、味にこだわることで道が開けるはず。“麺”夢塾で積極的に情報を集め研究する姿勢が、商品力の向上、他店との差別化に必ず役立つでしょう。
深刻なニュースに胸がつぶれる思いの毎日ですが、ふさぎ込んでいるばかりじゃいけない。本業に励むことが社会貢献です。我々ががんばれば経済はまわり、被災者支援にもつながっていく。精一杯お手伝いしますので、皆さん一緒にがんばっていきましょう」
塾長の静かな、だが熱い呼びかけに店主たちの表情がひきしまる。
士気があがった中、福井講師による新商品の提案・試食会が始まった。

24日は経営コンサルタント  古田基氏が講演!

24日の特別講義。担当は株式会社フードシステム代表取締役会長の古田基さんだ。
内外の外食事情に通じた経営コンサルタントの古田さんは、鳥居式らーめん塾の経営、サービス担当講師だ。
鳥居「古田さんとはかれこれ10年以上のおつきあい。
毎年1、2回、飲食業界人を率いて海外の食事情を視察されている。4月に予定されているニューヨーク視察は、現地の一風堂などらーめん店も回るらしいよ」

☆古田さんの最新プロフィールや業界リポートはこちらをご参照ください。
株式会社フードシステム 
http://foodsystems.jp/

開始1時間前に会場入りした古田さん。応対した荻原@鳥居式らーめん塾事務局長に昨今の繁盛店事情や通販で大ヒットした商品の魅力を語りだす。
13期生・辻さん@「福の神食堂(千代田区)」や14期生・大山さん@「大山家(武蔵野市、青梅市 http://oyamaya.com/)」には「その後お元気ですか?」
気さくに声をかけ近況を尋ねていた。

☆大成食品スタッフブログには辻さんの「福の神食堂」紹介記事が!
http://tokyoramen.blog45.fc2.com/blog-entry-169.html

  

講演が始まると、震災の影響、戦争体験や戦後の景気の浮沈に触れ
古田「結局、商売は需給の問題。成功するもしないも、外的要因が七割だね」
外的要因に逆らっても成功しない。経営者は今の状況を常に的確に判断しスタンスを決めていくべき、と言う。
古田「日本の食市場は29兆円をピークに最近は24兆円まで下がっている。食の外注化はずっと42.5%と変わらず、市場は縮小傾向だ。飲食業界は細分化、専門化が進み、勝つもの負けるものの格差は拡大する一方だ。
でも、個性と主張がしっかりしているところは勝ち残っている」
古田「今はオーバーストア状態で顧客には選択肢が多い。最近、お店にお客様が並ばなくなったでしょ?」
この日唯一の女性店主・林さんの顔を覗き込む。
林@「らーめんつけめん我家(池袋)」「激戦区なので周りには競合店がいっぱい。ちょっと並びだすと、お客様は食券も買わないでよそに行ってしまわれます」
林さんの告白に、周囲もうなずく。

古田さんは某有名外食チェーンを例に、売上げの数字にとらわれがちな点を問題視する。
古田「商売は店番だよ。客がどういう気持ちで利用し満するか、つぶさに見るべき。闇雲に繁盛店をまねてもだめ。お客様の73%は他に適当な店がないから来ているに過ぎないんだから。
東京駅地下の東京ラーメンストリート。うちにも打診がきたけど、あそこの家賃って最低でも坪7万円だよ、収益を上げるのは相当大変だね。今4軒あって4月からはさらに4軒増える。通行人は多いが、どのお客も選択するんだから厳しいだろう」
らーめん店はそのお店を目当てに足を運ぶ目的来店が他業態に比べて多い。
だが、消費者は気まぐれで予測しがたい。今日行列しているからといって明日も行列するとは限らない。なにしろ「他に適当な店ができたらお客はどこかに行ってしまう」からだ。
ではお客様をがっちりつかみ、競争に勝ち残るために必要なものとは?
古田さんは六厘舎TOKYOを例に、繁盛の仕掛けを解説する。2時間待ちの行列を観察し、実際に並んで商品を食べ、お土産も購入した上で、だ。
たとえば、お土産パッケージを見るだけでも人気の秘密がわかってくるという。
<中略~お客様向け講演のため、詳細は割愛させていただきます>

古田「自動車や電化製品を大量に売り続けた日本が、一度も貿易黒字になったことがない国が二つある。どこかわかるかい? イタリアとスイスさ。
どちらにも日本人が憧れるブランド、文化があるよね。
商売は売ることがすべてだが、今や量より質の時代。
私は100年続く店を手伝いたいと思ってる。らーめんも文化を売ろうよ。だから鳥居さんの(鳥居式らーめん塾の)試みに共感し、お手伝いしている。
文化をどう伝え、広げるか。思想や理念、情熱をこのマーケットに届けると表明したほうがお店は長続きする。その取り組みは必ず認められるはずだから、皆さん、がんばって!」

新商品提案・試食会は古田さんの解説付き!

古田さんはその後の新商品開発・試食会にも引き続き立ち会ってくださった。

福井講師・大成食品商品開発マネージャーが提案した新商品はあえそば2種と冷やしそば。

  

火曜は鶏ののせすぎで出血大サービス!になってしまった冷やしそば。
今回は福井講師自らもりつけ、配布レシピどおりのスタイルに。
山内「なるほどこれが本来の姿ですか(笑)、でも、男性も満腹のボリューム!
麺はつけ麺用…なるほど、別に麺を用意しないですむからお店側も取り組みやすそう」
福井「食材のロスがなるべく出ないようにレシピを工夫しています。
昨今の電力事情を思うと、夏の冷房も心配でしょう? 冷やしそばのさっぱりした味付けは、幅広い年齢層のお客様に支持されると思いますよ」

皆、配布されたレシピを熟読しながら試食。
麺の量や味付けなどの細かな質問が飛び交う。

古田「この味付けはいいね。世界的にも辛いものは流行しつづけている。注目は○○系で~」
「ニューヨークの○○は△△を利用してヒットしたが」
繁盛店の特徴や売上げアップの仕掛けなどの事例が続々。国内外の食事情に詳しい古田さんならではだ。
ニューヨークの食の流行はやがて日本にも入ってくる。今回の情報を参考にすればヒット商品が生まれそうだ。

「○○を取り入れるなんて、うちみたいな小さな店では難しい」
「デザートは皆さんやってらっしゃる?」
「ファミリーをターゲットにするからうちはプリンを出してます」
「回転率が犠牲になるなあ」
そんな会話を受けて、シンプルなアイデアで業績を伸ばしたファストフードチェーンの手法をすかさず紹介。
古田「繁盛のヒントは案外シンプルでわかりやすかったりするんだよ」
個人店だから、小規模だから「できない」ではなく、「何ができるか」前向きに考えよう。
古田さんのはつらつとした笑顔と力強いメッセージに皆、大いに励まされたよう。情報交換がいつになく盛り上がった。
お開きとなったあとも、鳥居塾長や福井講師への質疑応答が続いた。
「もっとお話していたいのですが、店に戻らねばなりませんので…」
名残惜しげに挨拶される方々の表情が、入室のときよりぐんと明るくなっていた。
「来てよかったです」
「講演で元気をいただきました!」
「レシピ、早速試します!」
足取り軽く退出される店主の皆さんを、一同は笑顔でお見送り。
塾長&大成食品スタッフ「皆さんのますますのご繁盛とご活躍をお祈りしています!」

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