第24期卒業制作発表会レポート
今期は東京、愛知、京都、大阪から27−56歳の男性6名が入塾。来春開業を目指して準備中の方、「週末店主」経験を持つサラリーマンなど、年齢、キャリア、入塾の経緯や動機もバラバラな6名。全12回の学びをもとに4種類の卒業ラーメンを完成させました。
さて、ラーメン評論家の皆様による審査結果は…?
動画:1分でわかる! 第24期卒業制作発表会
<参考>
24期生の歩みはスタッフブログ週報でご覧ください。
鳥居式らーめん塾カテゴリからまとめ読みできます。
<<24期 卒業制作の課題>>
今期、福井@味創り担当講師が出した課題は下記の通り。
将来開業するお店のコンセプトをまとめ、立地、客層などなるべく詳しく紹介する。
看板商品となるラーメンのレシピを開発する。売価は税込800円、 原価率35%以下。
トッピングの種類と数および売価は、お店のコンセプトに応じて決定。必ずしも800円にこだわらなくてもよい。
従来より塾生の裁量が増えています。
なぜこのトッピングを使うのか。
なぜこの価格にしたのか… よく考える必要があります。
6月18日、13時30分。
いよいよ24期の卒業制作発表会本番です!
審査してくださる、ラーメン評論家の大崎裕史さん、山路力也さん、山本剛志さんを前に、整列した24期生。
揃いも揃って、表情が硬い…(@@;;
緊張感みなぎる教室で、最初のプレゼンが始まりました。
☆都内で開業予定。C班の「あっさり鶏塩ラーメン」
赤澤さん(45)は都内在住。来年春までに新小岩で開業したいと浅草の繁盛店で修業。点心の学校と鳥居式らーめん塾に通い、味創りを学ぶ勉強家。
店名は、家業の屋号からとっている。
坂田さんは福島鰹(株)大阪営業所 営業課に所属する27歳。研修生として入塾。和だしの商品知識や扱い方は万全でも、ラーメンについては発見や驚きの連続(^^) 真摯に、かつ楽しげに学ぶ姿勢が光った。
C班の作品
メニュー名: 鶏塩ラーメン
売価: 税込700円
原価率: 32%
コンセプト: 毎日食べられるアッサリラーメン
ターゲット: 30-45歳位。仕事帰り、飲み会帰りの男性。
店舗名: らぁめん屋 カツ
営業時間: 18-29時
立地: 都内、新小岩駅から5分
煮干等の魚介を使ったあっさりした鶏清湯。Brix3の淡麗なスープに特製塩だれ、鶏油で調味。具材はネギ、なると、穂先メンマ、チャーシュー。刻み柚子。
低加水の細ストレート麺140g使用。
<講評>
「自称 日本一ラーメンを食べた男」大崎裕史さん@株式会社ラーメンデータバンク取締役会長 の講評は動画でご覧ください。
山本「お店を出すシチュエーションにリアリティがありますね!(^0^) 対象の世代は?」
赤澤「30代から45歳位です。この世代が多いエリアですので」
山本「麺の茹で加減が若者向けですね。もっと滑らかに茹でたほうが上の世代に受けるのでは?
新小岩あたりなら、今の流行りを狙うより、懐かしめの雰囲気を漂わせた商品のほうが良さそうです。
おいしいけど、40台後半の人が会社帰りに寄るお店で麺140gはちょっと多いかな。半麺があるといいですね。
濃厚なスープにゆずは効果的だけど、あっさりしたスープには、さほど効果がないかも。もっとわかりやすいトッピングのほうがいいのでは?」
山路「オープンはいつ頃ですか?」
赤澤「来年の4月頃と考えています」
山路「何席のお店? 1日何杯売ります?」
赤澤「10-13席で、150杯。まずは100杯目指してがんばります」
山路「おいしかったし、『毎日食べられるあっさりラーメン』 というコンセプトには合致する。
でも、それって正しいの?
『毎日食べられる』と『毎日食べたい』は違いますよ。
営業時間を見ると、まだ居酒屋もやってる時間。競合が多いエリアでわざわざ行くなら、個性や惹きがなくては! コンセプトを練り直す必要があるかもしれません。
今回のラーメンだけで考えると、いい意味でおとなしい。
チャーシューもメンマもスープも丁寧に仕込まれている。単体で美味い。でも、繊細なラーメンにのせると具材がスープを邪魔していました。
ラーメンはトータルバランス! 具材の調味、丼の形やサイズも含め、もっと考えてください(^^)b」
鳥居塾長「ごちそうさま!(^^)
お店の営業時間は始発まで? あっさりおいしいスープだったけど、もっと塩度があってもいい。
飲んだあとは、塩っぱいものが欲しくなるから。
麺の140gという量は、夕食としてなら普通だけど、飲んだあとや夜食にはちょっと重いね。90g程度でいいのでは?
加水の少ない、つるつる感がないストレート麺は、スープののりはいいけど…もっとソフトな、縮れた麺のほうがバランスがよかったかな」
毎度おなじみ 審査員の皆様からの愛の鞭!炸裂です(^^)
都内で来春出店予定の赤澤さんに、実に細やかなアドバイスをいただきました。
ご指摘は、オープンまでの宿題。勉強家の赤澤さんなら、キッチリ仕上げられるでしょう。
☆週末繁盛店主 将来は海外出店も検討中。B班の浅蜊鶏そば
B班 勝山さん(39)@東京、B’班 磯崎さん(56)@東京 ペアでスープを制作。仕上げ段階で1人班にわかれた。
B班の作品
メニュー名 浅蜊鶏そば
売価: 税込800円
原価率: 32%
コンセプト: ちょっと高級感があり、オシャレでカップルでも来れる店
ターゲット: 30ー50代のサラリーマン、女性
立地: オフィス街と繁華街の間
店舗名: 貝麺 勝山
営業時間: 11-15時 17-22時
Brix8.5 の鶏白湯スープを、オーダーごとに手鍋にとり、浅蜊を加えて仕上げる。麺は多加水平打ち麺140g。トッピングはレアチャーシュー、浅蜊、アスパラ、白ネギ。
B班の勝山さん(39)は、ラーメン好きなサラリーマン。2年ほど前には、土日に故郷 和歌山の親族のお店で間借り営業。本やネットで調べて仕込んだアサリ入りのらーめんが、大ヒット! テレビ取材のオファーもきたとか。しかし、転勤のため営業終了に。
新天地 東京では、自炊も外食もラーメン三昧! 大成食品の直営店「楽麦舎」に麺を買いにきて、鳥居式らーめん塾の存在を知ったという。
卒業後は、東京でまず開業し、将来的には海外出店も検討中。
<講評>
フードジャーナリスト、ラーメン評論家 山路力也さんの講評(抄)を動画でご覧ください。
参考:テレビ、雑誌、web等で大活躍! ラーメン店のプロデュースも手がける山路さんのプロフィール
山路さんはその日のうちに、塾生の皆様へのメッセージをtwitterに投稿してくださいました。
大崎「店名から期待した商品と違ってますね。これだと貝そばではなく鶏そばです(^^;
鶏清湯ならもっと貝を前面に出せたでしょう。
今の形だと鶏白湯ラーメンとしてなら美味しくいただける。でも、すでに東京にはいっぱいあって差別化が難しい。
あきらめて貝に行くか、鶏白湯で変化をつけるか、ですね。
ところでレアチャーシューにした目的、意味は? 流行ってるから? 見た目?」
勝山「見た目ですね。白いスープに赤いチャーシューを入れたら綺麗だし、自分でもおいしいと思ったから」
大崎「そうですか…」
山本「レアチャーシューはおいしかったけど、2枚も必要? 1枚にして浅蜊を増やしていたら、印象は変わったはず。
なぜ浅蜊なのか、なぜ3個のせたのか。
鶏白湯でいくのかやめるのか。
じっくり考えて欲しいな。貝のラーメンはハマると貝好きが集まります。研究のしがいがありますよ。
先日(第5回)、24期生の皆さんと一緒に視察に行きましたけど…都内には鶏白湯の有名店がいくつもあります。
鶏白湯でいくと、そこのイメージにひきずられる危険性もあります。
出店エリアの視察をしっかりしてほしいですね。調査に行って、美味しいなと思ったとき、これは外そう、と考えないと。
同じでは埋没するし、真似したと言われるのもしゃくでしょ? 方向性を考えるのも作戦ですよ(^^)」
塾長「おいしかったです。
貝にこだわるなら、もっと淡いスープにしたほうが良かったね。せっかくの浅蜊の良さが出せていない。
鶏白湯はおいしいけど、これはちがうな、もっと優しいスープじゃないといけないな、と気づいてほしかったね。私が客として『貝麺 勝山』に入って、このラーメンが出てきたら、首をかしげると思う。
『貝麺 勝山』として、何を売りたいか、が大前提。これが決まれば、おのずとスープが決まり、トッピングが、麺が、決まっていくよね。淡いスープにしたらネギもこの切り方ではなくなるかもしれない。
もう少し考えてみてください(^^)”」
☆開業資金創りに励むA班の作品は、濃厚豚骨魚介つけ麺。
A班の作品
メニュー名: つけ麺12号
売価: 税込800円
原価率: 30%
麺は中盛り300gまで同料金。中盛りにすると原価率 36%に。
コンセプト: 買物、用事のついでに寄れる、常連客と地元の人たちに愛されるお店。
ターゲット: 10代学生、20代から40代のサラリーマン。主に男性。
立地、形態: 愛知県稲沢市 1階店舗 2階住居。カウンター席のみ10席。
営業時間: 11時-14時半、18時-21時半。定休日水曜日。
店名: 麺や建児
Brix13.5 の濃厚鶏豚骨魚介スープのつけ麺。甘酢と特製醤油返し、煮干オイル、一味で調味。トッピングは分厚いバラチャーシュー3枚をバーナーで炙って提供。
メンマ、かいわれ菜、糸唐辛子、とろろ昆布は麺の上にのせて提供。
麺は切刃12番の多加水ストレート麺200g。中盛り300gまで同料金。
ドライバーとして開業資金創りに励む山形さん(40)は、愛知県一宮市在住。麺屋赤橙@愛知県江南市の濃厚豚骨魚介系のつけ麺にはまり、近隣の繁盛店を食べ歩いたところ、おいしいと思ったお店が皆、鳥居式らーめん塾出身。ぜひこの味で開業したくて入塾した。
資金がたまり、物件がみつかり次第開業したいとか。厨房では、率先して洗い物や清掃をする姿が、皆のお手本に。
ちなみにメニュー名は麺の番手、店名は店主のファーストネームからとったもの。
オブザーバー受講の杉本さん(33)は福島鰹(株)京都本社 営業部に在籍。京都本社でのお仕事、担当エリアである沖縄への出張、そして毎週の遠距離通塾とハードな6週間となった。
専門講義、実習ともに率先して質問をし、作業に取り組む姿は「情熱を忘れない」という入塾の心得とリンクしていた。
<講評>
大崎「おいしかったです。鳥居式らーめん塾の歴史のなかでは、よく出している味だし、予想通りですが。山形さんがやりたいことができていて良かった、と思います。
目新しいのはとろろ昆布の使い方ですね。
つけ麺でいつも思うのは、チャーシューをつけ汁に入れるか、麺の上にのせるかということ。
3枚もチャーシューがあるなら、2枚は麺にのせ、1枚はスープに入れてほしいかな。つけ汁に何も入っていないのは、寂しいです。
ここで麺を褒めても仕方ないけど(^0^)、麺の締め方が良かったです。
最近、冷たい水でしめればいい、しめすぎて硬い店が増えているなか、冷たすぎることなく、ちょうど良い硬さに仕上がっていました」
山路「コンセプトにある、『ついでに行ける』の意味が、わからない(?_?)
『ついで』 でなくても、いいんじゃない?
『ついで』 としてのコンセプトが何かあるの? 価格を安くして、お得にしたとか?
『ついでに寄れる』 というのは、どこで具現化したの?(^^)b
繁盛店になるには、コンセプトが大事。
コンセプトは ストーリー であり ルール なんです。理詰めで考えていかないとね!
コンセプト次第で店名もメニューも変わってしまう。お客をとれるビジネスチャンスが出てくるんです。
繁盛店主になるために、もっととことん考えてください(^^)」
ラーメン王講話、繁盛店視察実習を担当してくださった山本剛志さんの講評はこちらから!
塾長 「審査員の皆さんが、おっしゃった通り、完成された味ですが、よくできていました。
今回出したつけめんは、お店で出す基本メニュー。それに新たに何を入れるか、がポイント。トッピングなのか、麺なのか。あるいは提供方法なのか。
今回だと、とろろ昆布のところが一番、変えやすいよね? ここのバリエーションを考えてみましょう。野菜なのか。薬味的なものなのか。今の土台となるつけめんを、ほかのお店にはない個性的なものに変えられるかどうか、すべてあなたの感性次第です。がんばってください(^^)」
☆参考出品
56歳、未経験からの挑戦! B’班のタンタンメン。
B’班の作品
メニュー名:「ISOISOタンタンメン」
Bのスープに辛肉味噌、ニラをトッピングした激辛メニュー。
B’班 磯崎さんは56歳、デイトレーダー。
大成食品(株)出身店主の経営する「ビンギリ」の味にほれこみ入塾。
未経験ながら、将来は奥様の実家 奈良での開業をめざす。ビデオやボイスメモを駆使して熱心に学ぶ姿が印象的。
理想の味を追究し、たっぷりの肉、スパイスをつかった結果、原価率は46%に。課題をクリアできなかったため、参考出品となった。
<講評>
大崎「とてもおいしいし、好きな味です。しかし、この完成度だと、こんな原価になってしまうんですね…勉強になりました(^^;」
山路「山椒がきいていていい意味で複雑な素材感があり、すごくおいしかったです。
奈良には天理ラーメンという辛いものがあるし、やり方によっては受けると思います。あとはどう原価をあわせるか、ですね」
山本「おいしかったですが、メニュー名、店名など、まだまだ工夫できますね。
辛いものはクセになるし、どんどん辛くしたい、という気持ちにさせます。お客様の好みにあわせて辛さを選べるようにするとヒットしやすくなりますよ」
未経験からの挑戦は楽しかったものの、体力等に不安が…という磯崎さんに、山路さんから、こんなアドバイスが。
山路「飲食店を始めるモチベーションとしては、まず調理することが楽しいかどうか、が大切。
調理が楽しい。お客様の笑顔を見ることに喜びや感動を覚える。 という人でないと、続きません。
どんどん作って、家族、知人に出して、喜ばせましょう。加速度的にやる気になってきますよ(^^)b」
意志あるところに道あり!
まだまだ学びたい、と思ったら、ぜひ再聴講にいらしてくださいね。
鳥居式らーめん塾の卒業生は、再聴講 永久無料 です♪(^^)
☆卒業は繁盛店主への第一歩。
あせらず、あきらめず 前進あるのみ!
審査員の皆様から、たっぷりと「宿題」をいただいた24期生。
おいしいラーメンを出すだけでは生き残れない厳しい時代だからこそ、今、このタイミングで課題が明確になったのはラッキーです。
大崎「開店したらぜひご連絡ください、食べに伺いますよ(^^)p」
山路、山本「僕たちが提案した店名にしちゃいなよー♪(^0^)(^m^)」
審査員の皆様、講師スタッフ陣、先輩方に見守られながら…卒業証書を受け取った6名です。
鳥居憲夫塾長から24期生へ、贈る言葉♪
卒業式後は懇親会。
24期生、審査員の皆様や塾長、講師陣、先輩方とたっぷり話すことができました。このご縁、卒業後もコツコツ育ててくださいね。
山形さんは大崎さんと歓談中♪ 完成度の高いつけ麺を、どう差別化するか? 審査員の皆様が親身になってアドバイスしてくださいました。
当日は、19期生 石田さん(写真右 オランダ アムステルダム在住)が卒業式に参列。
現地での開業準備の様子をシェアしてくださいました。海外進出を検討している後輩へのアドバイス、感謝です!(^^)
石田さんは、山路さん主宰 飲食店経営者向けオンラインサロン「山路力也の飲食店戦略ゼミ〜愛される店になる為のルール〜」の会員なんですって。
第24期鳥居式らーめん塾 卒業記念写真(^^)
写真後列右から3人目が大山さん@14期生。今期も実習指導に大活躍でした。創業20周年を迎えた繁盛店「ラーメン大山家」店主のオペレーション指導は圧巻♪
ちなみに、午前中に21期生松波さん(麺屋無双@岐阜市。現在ラーメン大山家で研修中)も来校。24期生の卒業制作の仕上がりを確かめて、お店に戻っていきました。
福島鰹(株)東京営業所の長谷川所長、岡本さん@22期生(写真前列右から2人目)、徳田さん@21期生(後列右から2人目) の和だし講習と実習サポートなしでは今回の絶品ラーメンは誕生しませんでした。
☆24期生の開店情報が届き次第、塾生ニュース等でお知らせします。
<おわり>
<<次回 2017年秋 開講予定!>>
ラーメン繁盛店主養成学校 鳥居式らーめん塾。次回第25期は秋開講予定です。
脱サラおよび定年退職後にラーメン店の開業を検討されている方。
ラーメン好きがこうじて自分で開発したオリジナルラーメンでお店を出したいと考えている方。
ラーメン店でお勤め中の方。
FCからの独立を検討中の方。
経営するお店の売り上げ向上や商品開発の力量アップをめざすラーメン店主様。
居酒屋、バー、レストラン、寿司店、カフェ、ホテル、旅館等 他業態でラーメンを提供中の店主様。
次回25期の主役は あなた です!
次回も原則として毎週土日開催となる予定です。
(ただし創業100周年記念式典開催週は休校)
担当講師、受講費用は今期同様の予定。
入塾ご希望の方は、お問い合わせページから資料をご請求ください。
お電話でのお問い合わせはこちらまで。
TEL:03-3386-5636(大成食品株式会社 代表番号)
月〜金曜日 10〜17時 担当 古米、深澤 あてにお願いします。