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【物価上昇】賃上げのための値上げ

M&A当社の考え

久しぶりの投稿となりましたが、物価上昇シリーズ第3弾です。

第1弾と第2弾については参考までに以下リンクからどうぞ。

2022年4月投稿【物価上昇】製麺業界への影響

2022年10月投稿【物価上昇】M&Aで解決できるか

第1弾から2年近くたちましたが、相変わらず物価上昇中です。

世界標準からすると、日本の物価はまだまだ低く円安も止まりません。アメリカではラーメン一杯が4000円以上するところもあり、インバウンド観光客は2000円のラーメンでも安い安いと感動しています。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。

「賃上げするので値上げします!」

値上げについては、ついにここまで来てしまいました。原材料高騰での値上げについては、一昔前と比較して得意先は寛容になりました。世論が「仕方がない」という方向に動き、政府は不当な価格据え置きについては公正取引に反するという指針を明確に示したからです。日本人は昔から材料原価率を重視する傾向があったため、この点については受け入れやすかったのかもしれません。

そして物価上昇は、とうとう賃上げを理由とした値上げに移行しつつあります(注釈:業界によってはまだまだ原材料高騰の影響が続いています)。今後、取引先から送付される価格改定通知においては、「労務費高騰のため」という文言で値上げの要請が増えていくことでしょう。しかし、原材料と異なり労務費については、その上昇額を自社内でコントロールできると考えられてしまい、どこまでの値上げが許容されるのか、現時点では手探り状態と言えます。「なぜ他社の人間の給与を上げるのに当社がその費用を負担しなければならないのか、自分たちでなんとかしなさい。」そんな声が聞こえてきそうです。この論法になってしまってはダメです。労務費も原材料の高騰と同じで自社内でコントロールできないものであると、相手に思わせなければなりません。事業の安定的な継続のためには世代交代を意識した採用計画が必須です。そこに想いを馳せれば自明の理です。原材料の高騰と同じで、求人における給与水準も高騰しており、賃金を上げないと採用がままならないのです。この事実をもって価格交渉に臨まなければなりません。

政府も労務費(賃金アップ)を理由にした値上げについて、買い手側企業が不当に拒否する場合は、公正取引に違反する可能性があることを明言しました。背景には、原材料の高騰は受け入れても、賃上げ(人件費)に伴う値上げには応じない企業が存在するからです。一部の大企業は兆単位の莫大な利益を得ているにもかかわらず、下請企業をまだまだ買い叩いています。当社の立場である製麺業界においては関係ないように思われがちですが、そんなことはありません。大局的に見れば、世の中小企業が潤って平均年収が上がらなければ、ラーメンの価格は上げられません。日本の労働者の7割は中小企業の人間だからです。

ここでも足並みが重要になります。いくつかの会社が賃上げを理由に値上げを要請しても、別の会社が賃上げをせずに価格を据え置くと、相場が変動せず取引先をそちらに変えられてしまうからです。様々な要素が複雑に絡み合いながらも、全業界をあげて「値上げ」にチャレンジしていくことが求められます。

「M&Aで適正な給与水準を」

賃上げ・値上げについて述べさせていただきましたが、M&AのホームページなのでM&Aと賃金の関係についても触れておきたいと思います。当社はこれまで2つの製麺所をM&Aによりグループ内に加えてきました。その度にわかることがあります。仕入価格、販売価格、そして給与額、それぞれの額が微妙に異なることです。PMIではこのズレを数年かけて合わせていきます。仕入や販売の価格と比較して、給与額に関しては顕著な差が見られる場合があります。その理由は、次のようなものです。

・地域的な差異

・労働生産性(スキルレベル)の差異

・一般管理費、製造原価の差異

地域的な差異については、コントロールが難しいのですが、あとの2つはコントロール可能です。教育計画と予算計画を見直すことで、グループ全体でより上位の給与水準に近づけて行くことができています。分かりやすい例を出すと、Aという会社では5名でやっている仕事を、Bという会社では6名でやっている、そうなるとBの会社の給与はAには及びません。この部分を是正していくわけです。一方で出来ていることであれば、もう一方で出来ない道理はありません。そこに気づくかどうかの差です。値上げ、賃上げについても業界の相場を意識しながら、3社の足並みをそろえていけば適正な給与水準を保つことができるはずです。こんなところでもM&Aのシナジーは働いていると言えるでしょう。

 

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