【賃上げ】足し算ばかりの改革では実質賃金は上がらない
過去に物価上昇シリーズとして3つの投稿をしていますが、今回は賃上げをテーマに当社の考えを整理してみました。第1~3弾については参考までに以下リンクからどうぞ。
2022年4月投稿(https://tokyo-ramen.co.jp/ma_info/policy_8077.html)
【物価上昇】製麺業界への影響
2022年10月投稿(https://tokyo-ramen.co.jp/ma_info/policy_8535.html)
【物価上昇】M&Aで解決できるか
2024年3月投稿(https://tokyo-ramen.co.jp/ma_info/policy_9557.html)
【物価上昇】賃上げのため値上げ
さて政府は2030年までに最低賃金を1,500円までに上げると言っています。過去にない上げ幅です。1,500円まで上げるというゴール自体に異論はないのですが、どこに実効性があるのか、現状をどこまで把握しているのか、疑問はつきません。時給1,500円分の稼ぎを創出できる仕組みが伴っていなければ全く意味がないと考えるからです。
「手取りを増やす(103万の壁、106万の壁、130万の壁)」
先日の衆議院議員総選挙では、「手取りを増やす」というキャッチフレーズを掲げて国民民主党が躍進しました。その実現手段としては「壁問題」の解決があり、現在マスメディアを賑わせています。
この問題に対して立憲民主党からは給付金で補填するような案が出てきました。われわれ経済、経営の立場にいる側からすると、政治家と言われる方々は現場の作業負担は無料だと思っているようです。
国民民主党からは「補助金行政ではなく減税をすべきだ。後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」という発言がありました。まさしく経営目線、現場目線の発言です。補助金、助成金、給付金に限らず、軽減税率、インボイス制度、定額減税、足し算ばかりの業務改革が行われてきました。そこに費やした人件費、費やす人件費は試算されているのでしょうか?行政側の人件費だけではありません。民間側の人件費はどうでしょうか?その分の人件費がなければ一人当たりの手取りは増やせそうです。税収が減ってもその分人件費が削減できれば、景気回復との相乗効果で一定程度は賄えるのではないでしょうか?
政府はデジタル庁を設けて、デジタル化により煩雑性は解消できると謳っていますが、システム開発の本質はシンプルな業務の上に存在しています。複雑な業務になればなるほど、IT投資額も飛躍的に増大します。足し算ばかりの改革はどこかで破綻します。いやすでに破綻しているからこそ、そこかしこで問題が紛失しているわけです。補助金、助成金、給付金、インボイス制度、こういった社会の仕組みをリセットして再構築する、いわば引き算の改革が求められています。それでもどうしても賄えないならば、軽減税率をやめて税率を統一(インボイス制度廃止)して税収を確保してもよいです。その結果、壁問題が解消され、シンプルで効率の良い仕事が実現できれば国民は文句を言うはずがありません。
繰り返しますが、足し算の業務改革が生んでいる作業負担は無料ではありません。
「賃上げの本質」
ここまで時事を賑わせている政治的な問題にフォーカスして述べてきました。過去の「物価上昇」シリーズでも触れてきましたが、賃上げの本質は、値上げでもなければ、最低賃金の引上げでもありません。
中身の伴わない値上げや賃金引き上げでは、堂々巡りで実質賃金は上がらないのです。
無駄をなくし、業務をシンプルにして生産性をあげ、「一人当たりの稼ぐお金を増やす」、これが「手取りを増やす」ことにつながります。
旧態依然とした仕組みから脱却できない政治家、官僚は、大変残念なことに自分たちが築き上げてきたシステムが通用しなくなってきている、この事実を認める度量が不足しているように思われます。政党を支持するのではなく、政策を支持することで日本経済が好転して、国民生活が豊かになることを願うばかりです。