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【物価上昇】製麺業界への影響

M&A当社の考え

ここ数年、物価の上昇が止まりません。過去10年、都度の値上げは平均1~3%程度であったものが、少なくとも10%以上、ひどいものでは30%以上もの値上げが発生しています。物価の上昇は食品原材料のみならず全方位で起こってしまっています。

「物価上昇は賃上げと共に」

スタグフレーションという言葉があります。不況により賃金が上がらない状況の中、物価の上昇ばかりが起こる現象を指し、人々の生活が非常に苦しくなる現象です。みんながみんな物価の上昇に見合うだけの値上げをし、値上げされた商品・サービスをこれまでと同じように購入すれば、理論上は賃金も上げることができるはずです。しかし、そこにはタイムラグというものが確実に存在し、人々は疲弊することになります。この問題を解決するヒントとして、ゲーム理論にある「囚人のジレンマ」「コーディネーションゲーム」という構図が思い出されます。「囚人のジレンマ」とは自分にとって最善の選択をしようとすることで、自分を含む全体にとって不都合なことが起きてしまう現象で、「コーディネーションゲーム」とは全員で足並みをそろえることで初めて問題解決がなされるのに、誰か一人でも足並みを乱すと途端に全員がバラバラな動きをしてしまうという現象です。社会問題の解決にはゲーム理論は欠かせない考え方なのです。全体にとっての最善の策を選択し、みんなで足並みを揃える、いま社会はこの単純な行動を速やかに実行することが大切です。ゲーム理論を義務教育課程で取り上げておけばよいのにとつくづく思うところです。

「賃上げが先か、値上げが先か」

続いては少し角度を変えて考えてみたいと思います。

賃上げと、値上げはどちらが先でしょうか?

この問いの答えとして「同時」という人がいます。どのような意図をもって同時と言っているのか定かではありませんが、「同時」というのは誤った表現です。正確には「値上げ⇒(購入)⇒賃上げ」を「連続」で実行しなければなりません。まして先に「賃上げ」ということはありえません。いつだってお金(糧)は、仕事のあとについてくるものです。狩猟や農耕において、仕事をする前に獲物や作物を手に入れることはできないのと同じです。この順番を間違えずに、私たちは原理原則を肝に銘じて、一時の値上げに耐え、賃上げにつなげることが求められます。

注)企業が利益を過度に内部留保している場合は除きます。すみやかに賃上げすべきです。

「製麺業界への影響」

最後に本投稿のまとめとして当社業界について述べて終わります。

世界的な麦価の高騰が大きな影を落としています。製麺業界において、とりわけ「ラーメン」というジャンルにおいては、価格構造において以前から大きな課題を抱えていることもあり、自体は深刻です。

その課題とは、ラーメンは大衆食であり安価でなければならないという潜在意識です。ラーメン文化はものすごいスピードで進化してしまった極めて稀有なジャンルであるがゆえ、価格に対する意識変化が置き去りになってしまった感があります。その証拠に海外でのラーメン価格は、日本の2倍から3倍となっています。厳選された食材、緻密で独創的な配合、調理にかける時間、どれをとっても食の世界では最高峰の部類に入るものであり、海外では過去の先入観がない分、正当な評価を得ているわけです。一昔前のシンプルなあっさり鶏ガラ醤油ラーメンであれば安価に提供することは可能でしょう(それはそれでとても美味しく好きなラーメンです)が、現在の主流となっているラーメンではそうはいきません。にもかかわらず、1,000円を超えると途端に売れなくなるという代物なのです。

ラーメンのすばらしさ、真の価値を全員で理解し、この壁を突破することに挑戦しなければなりません。

消費者の意識変化、ラーメン店主の価格改定への覚悟が、私たち製麺業界にとって1つのカギになります。前述のゲーム理論にもあるように、全体よりも自分にとっての最善を優先したり、全体の足並みから逸脱するような行為をしたりしないことを祈るばかりです。それは国民食とまで言われるようになったラーメンの価値を損なう行為にもなりうるのだと思っています。

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