【異業種M&A】シナジーはどのようにして起こるのか
M&Aを考えるとき、まず考えるのは同業種のM&Aになるのがほとんどではないでしょうか。自らの得意とする領域であれば、売り手企業の強み弱みはある程度分析でき、買い手企業の強み弱みで補完しあうことができれば、そこに1+1以上のシナジーが生まれることになります。ここで言う強み弱みは、例えば、工場の生産能力であったり、供給エリア(地域)であったり、主要顧客の業種業態であったりを指します。想像するだけで楽しくなりますね。では異業種の場合はどうでしょうか。
「異業種のM&Aにこそ、変化に強い未知のシナジーがある」
いきなり大仰なネームを使いましたが、異業種のM&Aにはイノベーションが存在するのではないか。私はそのように感じています。イノベーションというと突拍子のない発明のようなものを想像し、現実感がないような印象を受けますが、きちんと調べてみるとイノベーションは「新結合」と訳されることがあります。新結合とは、「これまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって新たな価値を創造すること」を意味します。これをM&Aに当てはめると、まさしく異業種間のM&Aということになるのではないでしょうか。
例えば、当社はラーメン屋さんに麺を卸す製麺所ですが、異業種M&Aでラーメンの材料となる肉類、乾物節類、海苔、メンマ、ナルト、あるいは調味料などを扱っている企業とそれぞれ業務提携をしたら、ラーメン店専門総合メーカーのできあがりです。ラーメン屋さんからしてみれば、注文をまとめて1社に発注し、配送も支払いも何もかもがまとまって効率的です。スケールメリットもある程度期待できるのではないでしょうか。この機能は一般的には商社が担っていますが、それをメーカーが行うとなると1つのイノベーションと言えなくはありません。
現実はそんなに簡単なものではないでしょうが、業種業態の多角化によって経営の安定性が増す可能性もあれば、各社がもつ顧客リストを共有することで潜在顧客は膨れ上がります。異業種であるが故のこれまで気づかなかった課題や新たな発見もあるかもしれません。異業種といえども本質的な経営はきっと一緒です。勇気をもって異業種M&Aにもチャレンジしていきたいですね。