【育成】後継者の存在
会社譲渡の理由として後継者不在を度々目にします。オーナー企業の多い中小企業においては世襲による事業承継がほとんどを占め、次世代に引き継ぐためには「継ぎたい」と思わせる企業としての土台が求められます。しかしながら経験のない我が子に、そのように思わせることは並大抵ではありません。継がせたいが、継ぐ方も不安、継がせる方も不安。そうこうしているうちに時が過ぎ後継者不在に直面してしまう現実があるように感じます。いろいろなケースがありますが、後継者候補がいることを前提に考えをまとめてみました。
「後継者に求める(求められる)能力があいまいになってしまっている」
「継ぎたい」と思わせる企業としての土台という表現を使いましたが、では土台とはどんなものを指すでしょうか。当たり前ですが、安定(継続)した黒字経営という実績が最初に来ます。その他、以下のような要素が考えられます。
・優秀な従業員(頼れる番頭)
・良好な社内の人間関係
・強力な商品またはサービス
つまり黒字経営を生み出す理由(仕組み・仕掛け)がしっかりあれば安心するということです。しかし、見方を変えると「楽したい」「楽させたい」「守りたい」「守られたい」という過保護な親心と甘やかされた子供の構図になってしまっているようにも感じてしまいます。過去や現在にばかり視線が向いてしまって未来志向ではありません。それでは社会の変化に対応することは難しいでしょう。経営の安定感やポテンシャルを考えることはきっかけとして悪いわけではありませんが、それ以上に「後継者に求める能力」を明確にし、そこに向かって育成していくことが1つのカギになるという気がします。持続可能な会社経営とは過去現在ではなく未来に目を向けることであり、それが事業承継の本質なのではないでしょうか。
とはいえ、「後継者に求める能力」を明確にすると言われても自力ではなかなかできません。経験を積ませることはできるでしょうが、前提となる経営の知識やスキルがあいまいになってしまいます。そこで当社は後継者候補の育成をテーマに、経営者に求める(求められる)能力を明確にするフォーマットを整備することにしました。
経営者に必要なスキルには、例えば以下のようなものがあります。
・経営方針や経営計画の策定
・従業員の役割定義
・目標管理や評価制度に基づく組織ビルディング
・日常的なルーチンワークとして経営者がとるべき行動
このようなスキルは単体で求められるものではありません。しかしながら多くの場合、1つ1つのテーマごとに教育が完了しがちです。求めるのは「一連の経営スキルを連動して機能させること」です。その知識を学ぶ過程において無駄のない経験を積む、そんなフォーマットが理想です。
複数の企業が集まるグループ経営を実現するためには、力強い後継者を育成するフォーマット、これを継続的に発展させていかなければならない、それを当社の強みとして位置づけたいと思います。