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【同業種M&A】立ちはだかる壁

M&A当社の考え

新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は、飲食店を顧客に持つ納入業者に対しては協力金のような補償は一切ありません。発令されるたびに理不尽に売上を奪われ続け、平等性を著しく欠いた政府政策だと言えるでしょう。その影響が製麺業界にも顕著に表れており、昨年末から現在にかけて、製麺業のM&A案件を数多く目にするようになりました。しかも、その多くは営業赤字、債務超過という案件なのです。

「経営再建の道筋をつけるためには企業の価値を見出す必要がある」

冒頭で触れたようにラーメン店をはじめとした外食産業を顧客に持つ製麺所は、とても厳しい社会情勢の中で業績が悪化し、営業赤字、債務超過に陥ってしまっているところが増えています。そういった製麺所が生き残りをかけて事業承継の道を模索し、M&A案件として度々登場するようになりました。

当社としてはそういった案件であっても可能性を探るべく、M&A仲介サイトを通して打診をしたり、仲介業者様を通して交渉を進めようとしたりするのですが、毎回のように大きな壁が立ちはだかることがわかりました。それはM&Aという世界では当たり前のことではあったのですが、同業種であるがゆえ情報の公開に関しては極めてセンシティブになるということです。

業績がそこまで悪くない場合は、財務諸表レベルの情報で基本合意(M&Aする前提で交渉を進めること)ができるのですが、営業赤字、債務超過ということになると、買い手がそのリスクを負うことになります。したがって、どこに問題があるのか、どこに強みがあるのか、当社とのシナジーはどうか、すなわち業績回復の道筋となるストーリーが描けなければなりません。ところが、同業種であるため競合になりかねない顧客情報や製品情報、それぞれの売上の内訳、従業員の構成や人件費内訳、さらには所在地までほとんどの情報が手に入らないことになります。そうなってくると、買い手企業だけの力で業績を回復させる確固たる事業計画を持っていなければなりません。では、売り手のことをよく知らない買い手が、独りよがりで考えた事業計画を売り手側は受けいれられるものでしょうか。失敗する可能性が高いように思います。だからといって単純に資金と得意先を回すだけのM&Aでは付加価値はなく、成功とは言えません。

立ちはだかる壁は高いかもしれませんが、売り手企業は守秘義務契約のもと、勇気もって情報公開に踏切ってほしいと思います。そして買い手企業は、誠実に、真摯に、売り手企業をサポートする精神で、たとえ合意に至らなくとも業界の仲間として両者が共存できるようなスタンスで取り組まなければなりません。

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