【M&A交渉】未来の企業価値を考える
M&Aの交渉は、売り手の希望価格が妥当かどうかを買い手が判断していく過程でもあります。買い手が判断する企業価値が、売り手の希望価格を上回っていれば取引成立です。
(もちろん価格以外の点で、DDや表明保証などのリスクヘッジは行われて当然です。)
「企業の潜在価値は財務諸表の外にある」
当社は企業価値について考えるとき、「譲渡企業自体の成長の余地」に注目します。
もちろん業務提携によるシナジーもほぼ同時に考えますが、シナジーを実現するためには変化が必要になります。その変化を受け止めるポテンシャルがなければなりません。ここで見るべき成長の余地とは、企業としての競争力や商品力とは少し異なります。陳腐な言い方をするとチャレンジ精神のようなもの、PDCAを回し続ける根気のようなものかもしれません。
この部分をクリアできると一気に道が開けてきます。価値を生み出す成長の土壌があれば、付加価値の算定もスムーズです。
とはいえ、こういった潜在的な力をロジカルに計ることは残念ながらできません。代表者を含むキーマンと呼ばれる人たちにヒヤリングをすることで、会社に対する思い入れの強さ、日々の課題意識を拾いながら、ときにこちらの考えをぶつけて判断するようにしています。大企業同士のM&Aだと、そんな手間暇はなかなかかけられませんが、中小企業だからこそ熱のある交渉ができると思います。
M&Aの価格交渉は、より安価な価格での取引を目指すことよりも、売り手企業の価値をどこまで高められるのか、そのポテンシャルを計るところからはじめたほうが正解だと当社は考えます。結果として売り手の希望価格を上回っていれば、そこで取引成立です。